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葛藤
バタンッ
少々乱暴な仕草で後ろ手に扉を閉め、オレは早足で廊下を進む。
気が逸る。
二人に手を出すな、と釘はさしたが、…電話越しに聞こえた物音と、状況を考えると、どちらかは怪我をしていそうだ。
「………、」
携帯を開きかけて、躊躇う。
西崎と武藤に、連絡をとるかどうかで、さっきからずっと悩んでいる。
…きっと、とるのが、正解。
事態は、オレ1人で何とか出来る範疇では無い。
連絡とって、一緒に来てもらうなり、怪我の手当てにあたってもらうなり、した方が利口だって分かってる。
……でも、
「…………。」
パチン
無言のまま、携帯を閉じる。
オレは、ポケットに折りたたんだ携帯を、つっこんだ。
でも、巻き込みたく無い。
これ以上、オレは、オレと陽のゴタゴタに、
大切な人たちを、巻き込みたく無いんだ。
怪我させたく無い。
悲しい顔させるのも嫌だ。
エゴだろうと何だろうと、
オレだって守りたいんだよ、
皆を。
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