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『…………っ、』
電話越しに、混乱したような気配がする。
突然すぎて覚悟が出来ていないのは、お互い様なのかもしれない、そう思うと、少しだけ可笑しくて、笑みが浮かんだ。
そんな場合では無いのは、重々承知なのだけれど。
やがて陽は、困惑を振り払うように、深く息を吸った。
『…………、陰?』
期待と不安が入り交じったような声が、オレを呼ぶ。
泣きそうな、綺麗な顔が、思い浮かんだ。
周りに迷惑かけまくって、
無茶苦茶にオレを振り回して、
でも、最後には、叱られるのを待つ子供みたいな顔で、オレを見る。
しょうがないなぁ、って思わせるその顔が、
好きだったよ、陽。
でも、
「……うん。」
泣きそうになりながら、オレは、小さく返事を返した。
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