Main 12* ※清水視点です。 掌の痛みに気をとられた瞬間、それを待っていたかのように、陽は間合いをつめる。 反射的に見上げると、陽は両手を組み、オレの頭上に振り上げていた。 ガツッ 「っ…!!」 脳天を揺さ振るような衝撃が襲う。 そのまま、その場に崩れ落ちるように膝をついた。 ガッ 続け様に振り下ろされた拳を腕でなんとか防ぎ、間近にあった陽の足を払うように蹴る。 しかし陽はそれを避け、オレの間合いから離れるように数歩後退った。 握ったままだったナイフを、遠くに放り投げる。 強く握ってしまった為、かなり深い傷口から、ボタタッと鮮血が滴り落ちた。 「…っ…、」 膝をついたまま、額をおさえ、鈍痛と吐き気に耐える。 揺さ振られているように、視界が安定しない。 マズいな…まともに食らった。 壁に手をつき、体を無理矢理起こしながら、背後を一瞥する。 「…おい、」 「…………っ、」 恐怖で顔を真っ青にした小さな少年は、オレの呼び掛けに、ビクリと肩を震わせた。 「…とっとと、逃げろ。」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |