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見回しても、誰も不思議そうな顔はしていない。



違和感を感じているのは、オレ一人。



言われた陽も、面倒臭そうではあるが、バスルームに向っている。


何が変なのか分からないまま、じっとその後ろ姿を見ていたオレの目の前で、陽の指先から、ポタリと赤い雫がしたたり落ちた。



「……っ!」



「…………?」


気が付いたらオレは、陽の背中を掴んでいた。


振り返った陽は、怪訝な目でオレを見る。


「………何?」


「陰?」


黒さんや青さんらも、不思議そうにオレを見る。



でも、気付いてしまったものを、無かった事には出来ない。



「……返り血、だけじゃないよね…?」


「え…?」


「怪我してるでしょ。」
「!」


疑問では無く、断定したオレに、陽は目を僅かに瞠った。


「………何で?」



問われたオレは、陽の指先を指した。


「…顔に付いた血は、もう渇いてるのに、右手の血だけまだ滴ってる。…それ、自分の血だよね?」


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あきゅろす。
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