Main
10
「そりゃ、無茶や。ソイツが、人の言う事聞くタマかい。」
朱雀さんが、横から愉しげに野次をとばす。
はふ、と漸く一息つくと、大きな手が、オレの髪を撫でた。
「…お疲れ。ケガねぇな?」
覗き込んでくる黒さんに、オレは笑って頷いた。
「はい。…ただいまです、黒さん。」
和むオレらの後ろで、玄武さんは、マスターの誠さんに声を掛けた。
「…誠さん、シャワー借りてもいいですか?」
「いーぜ。勝手に使いな。」
快諾してくれる誠さんに礼を言い、玄武さんは陽を振り返る。
「…陽。シャワー借りてこい。」
「オレですか?」
「…ああ。確かにその格好は無いな。」
振り返った黒さんも、苦笑し頷く。
…そういえば、血だらけだった。
「そのまま表歩いてみい。確実に君、捕まるわ。」
何処の殺人鬼や、と朱雀さんも呆れ気味に呟いた。
「……そうだな。返り血を落としてこい。」
長いため息をついた後、白さんは陽にそう言った。
……………、?
オレは、ふと違和感を覚えた。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!