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8
「…テメェ、…暴れ過ぎだ、馬鹿が。」
青さんは吐き捨てるように呟き、陽に近付く。
「……あれ、青じゃないですか。どうしたんです?」
その場にそぐわぬ、ヤケに軽い調子で陽はそう笑った。
青さんは、苦々しく、舌打ちした。
「…どうしたんです、じゃねぇよ。お前のせいで、こんなトコまで来させられたんじゃねーか。」
「…オレのせい?」
心外だと言わんばかりに、拗ねたような顔をする。
…だがその幼い仕草が、逆に異常に見える。
あそこにいるのは、獣だ。
可愛らしい兎の皮で欺いて、近付いた獲物を捕食する、肉食獣だ。
「……おい。」
今まで静観していた玄武さんは、耳をすましすように、視線を遠くへ向け、おもむろに口を開いた。
「…青、来るぞ。どうやら通報されたらしいな。」
「…!」
オレも耳をすましてみると、確かに遠くから、サイレンの音が近付いてくる。
「…マジかよ。」
ため息まじりにぼやいて、青さんはバイクに跨る。
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