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「…テメェ、…暴れ過ぎだ、馬鹿が。」


青さんは吐き捨てるように呟き、陽に近付く。


「……あれ、青じゃないですか。どうしたんです?」


その場にそぐわぬ、ヤケに軽い調子で陽はそう笑った。


青さんは、苦々しく、舌打ちした。


「…どうしたんです、じゃねぇよ。お前のせいで、こんなトコまで来させられたんじゃねーか。」


「…オレのせい?」


心外だと言わんばかりに、拗ねたような顔をする。
…だがその幼い仕草が、逆に異常に見える。


あそこにいるのは、獣だ。


可愛らしい兎の皮で欺いて、近付いた獲物を捕食する、肉食獣だ。


「……おい。」


今まで静観していた玄武さんは、耳をすましすように、視線を遠くへ向け、おもむろに口を開いた。



「…青、来るぞ。どうやら通報されたらしいな。」


「…!」


オレも耳をすましてみると、確かに遠くから、サイレンの音が近付いてくる。


「…マジかよ。」


ため息まじりにぼやいて、青さんはバイクに跨る。


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