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そんな会話をしてから暫らくは、ほとんど陽と遭遇する事も無く、会ったとしても予想通り、陽はオレを覚えてなかった。
視界に入れず、たまたま入ったとしても、知らない奴がいるなぁ的な顔をされた。
オレも率先して交流を図ろうともしなかったし。
言葉を交わしたのは、二週間位過ぎた日の事だった。
玄武さんと青さんと一緒に移動している最中に、その連絡が入った。
青さんの携帯に、黒さんからの着信。
オレらは、青さんの指示で停止する。
会話の内容は、バイクのエンジン音にかき消され、オレのところまで届かないが、青さんは何やら難しい顔をしている。
黙って見守っていると、通話を終えた青さんは、オレらの方へ近寄って来た。
「…進路変更する。」
「……トラブルか?」
苦々しい青さんの言葉に、玄武さんが問う。
がりがりと自分の髪を苛立たしげに掻き、青さんは、長く息を吐き出した。
「…埠頭の方で、あの馬鹿が暴れてるらしい。」
回収してこい、とよ。
そう吐き捨てる青さん同様、玄武さんも、苦々しいため息をついた。
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