Main 3 「…陰です。よろしく。」 一応、挨拶をしてみた。 「…どうも。陽です。」 陽、と名乗ったその人は、表面上だけ、綺麗に笑ってみせた。 …わぁ、空々しい! ある意味感動を覚える位、適当に『よろしくお願いします』と、付け加えられ、オレは渇いた笑いを浮かべた。 うゎー…こんなに心のこもらない『よろしく』、初めてかも。 …賭けてもいい。 この人絶対、次会う時までにオレの事忘れてるよ。 「…もう行っていいですか?」 時間の無駄だと言いたげに、陽は、白さんにそう問う。 「…陽、」 諫めるように呼ぶ白さんに、オレは苦笑して、かぶりを振る。 気にしないで、というオレの意を読み取ってくれた白さんは、嘆息した。 「…分かった。もう行っていい。」 苦々しく白さんが呟くと、陽はさっさと身を翻し、奥へと消えていく。 「……すまなかった。」 「いいですよ。オレも態度良くはなかったですし。」 申し訳なさそうに言う白さんに、オレはヘラリと笑った。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |