Main 5 「…で、自暴自棄になって、路地裏で凍死しかけてたトコを黒さんに拾われたワケだ。」 あの人がいなかったら、オレはあの時に、死んでいた。 …例え、生き長らえたとしても、心は、きっと時を止めたままだった。 「…だから黒さんは、オレにとっては、保護者であり、恩人でもある人。」 「…成る程。」 息を長く吐き、西崎は端的に呟いた。 「つまり《陰/陽》に入って黒龍に会ったんじゃない。黒龍に出会って《陰/陽》に入ったワケだ。」 「そーなるね。」 そもそも、黒さんに出会う前は、そういう世界とは全く無縁だったし。 「…そうなると、黒龍は味方、と考えていいな。」 西崎は、難しげな顔で、独り言のように呟く。 「お前は、《ケルベロス》と《陰/陽》両方から探されているのかと思っていたが…」 西崎の言葉に、オレはかぶりを振る。 「正確には、《ケルベロス》総長 御門暁良と、《陰/陽》幹部 陽個人だ。黒さんは、オレの場所知ってるし、連絡もとってるよ。」 「そこだ。」 何処だ。 「…何故、同じ組織である奴に探されているんだ。しかも、頭には連絡をとっているのに。」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |