Main 4 「…母さんは女手一つで、オレらを育ててくれたけど、無理がたたって、オレが中学一年の時に過労死した。…身寄りのなくなったオレと弟は、親戚の家を転々とした。」 大して付き合いも無い、遠い親戚の子供として、何処へ行っても、厄介者扱い。 たらい回しにされながら、それでもオレには弟がいたから…頑張る事が出来た。 ―――でも、 「…でも、母さんが亡くなってから一年と少したった頃、………親父が帰ってきた。事業に成功して、大金持ちになって。」 …遅ぇよ。と、 何故か、笑えてきた。 借金は、母が遺してくれた保険金で返し終え、家はとっくに売り払われ、…残されたものなんて、弟だけだった。 「…親父はオレらを引き取ろうとしたけど、絶対に、アイツの元になんか行かない。そう突っぱねた。」 オレから全てを奪ったアイツのところになんて、絶対に。 でも、 「…でも、弟は行ってしまった。………オレらを捨てた、親父のところに。」 その時オレは、全部無くした。 この手には何も無い。 家も、家族も、……役割さえも。 弟を守る。 その一心で、進んできたオレの心は、 そこでポッキリ、折れた。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |