Main レッツ クッキング! お湯を沸かしていると、キュウ…とお腹が鳴ったので、ついでに朝食を用意する事にした。 簡単に、オムレツとサラダとトーストでいいかなぁ? 「西崎ー。」 「何だ?」 呼ぶと、西崎はキッチンへと近付いて来る。 「朝飯、洋食系でいい?」 「………。」 西崎は、オレの問いに、戸惑ったように黙り込んだ。 「……?嫌なら和食も出来るよ?」 「いや。………はじめてで、よく分からない。」 西崎の言葉に、オレは更に首を傾げる。 「初めて?…何が?」 「…………誰かに、食事を用意してもらう事が。」 「!」 オレが目を瞠ると、西崎は困ったように、苦笑した。 「……実の母にも、今の義母にも作ってもらった記憶は無い。…ああ、でも施設では、出てきたか。」 義務的に作られるソレを、手作り、と呼ぶならば。 そう西崎は、呟いた。 でもその瞳に、悲観した色は無い。 ……なら、同情するような事じゃない。 自分がされたくないものを、西崎に押し付けるのは違う。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |