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「……っ、」
「!?」


突き飛ばされた体は、バランスを失った。
何とか踏み止まろうと、オレは後ろ足に力をいれようとする。


だが、階段の中腹にいたオレの足場に、そんなスペースは無く。
支えを失ったオレの体は、後ろへと傾いた。


マズい、と思った時にはもう、オレは宙に投げ出されていた。


「……っ!」


未来君は、落ちるオレに咄嗟に手を伸ばす。
けれど間に合わずに、その手は虚しく空を切った。




まるでスロー再生のように、やけにゆっくりと、景色が流れる。


泣き顔で手を伸ばす、未来君の絶望的な表情。


駄目だ。

これ以上泣かせたく、無い。


その思いが浮かんで、オレはせめてダメージを軽減させようと体を丸めようとする。


「……っ!」


頭を抱えたオレの耳に、未来君じゃない叫び声がかすかに聞こえる。


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あきゅろす。
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