[携帯モード] [URL送信]

Main
2
※未来視点です。


「…何の用だ。」


僕の方を見た西崎様は、無表情のまま、低く呟いた。


「…い、いえ。用ってほどの事じゃないんですけど……。その、お話したいなって…。」


ガタン


西崎様は、僕が言い終わる前に、音をたてて席を立った。

ビクリ、と体を震わす僕を、西崎様は一瞥する。


「…他をあたれ。」


そう言い捨てて、西崎様はスタスタと歩き始める。


「あの…っ」


慌てて追い掛けるが、西崎様は、歩調を緩めない。


まるで僕が見えてないみたいに、人気の無い方へと、歩いて行く。


「西崎様っ!」


大きな声で呼ぶと、西崎様は、階段の途中で、足を止めた。

あがった息を整えながら、西崎様を見上げると、窓からの光が逆光となり、シルエットみたいに、西崎様の姿が浮かび上がる。


「………。」


無言の圧力に、気圧されながらも、僕は必死に言葉を紡ぐ。


ここで負けてちゃ、僕はこの人に近付けない。
斎藤みたいには、笑ってもらえないんだ。


「あの!…お邪魔でなかったら、今日もお昼一緒に食べてもいいですか?」


「………何故オレに聞く?斎藤に聞けばいい。」


.

[*前へ][次へ#]

48/141ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!