Main
3
「昼寝気持ち良いよねー。オレも好き。」
「一緒にする?」
悪戯っぽい目でそう言うしずかちゃんに、オレは苦笑した。
「遠慮します。…今日はやめとく。」
しずかちゃんは、『残念』と、さほど残念そうでもなくサラリと呟いた。
「じゃ、オレ行くねー?」
オレはそう言って、扉に手をかける。
来てすぐ帰るって、オレ何しに来たんだか。
でも、しずかちゃんは突っ込まないでくれた。
扉から出て行こうとするオレを、しずかちゃんは、何か言いたげにじっと見る。
けれどそれは一瞬の事で、一度だけ目を伏せたしずかちゃんは、すぐに何でもない顔で、またね、って手を振った。
気になりつつも、オレはそれ以上は何て言ったらいいか分からず、そのまま曖昧に笑って、扉を閉めた。
……。
オレは階段の途中で足を止め、天を仰ぐように上を向き、息を吐き出す。
オレって別に、真面目でも良い奴でもないから、別に気にしてなかったけど。
嘘ついたり、誤魔化すのって、しんどいな。
…大切な人とか、好意を表してくれる人には、尚更。
―――嘘は、ついていないけれど。
黙っているのも、同じ事なんでしょうか。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!