Main 2 真後ろに倒れたオレは、衝撃に備え、ぎゅっと目を瞑った。 …ドサッ ……あれ? 予想した衝撃は、いつまでたってもやってこない。 フワリ、と香るフレグランス。 暖かな腕の感触。 そーっと目を開けてみる。 「…大丈夫?」 視界を占めるのは、間近まで迫った、綺麗な顔。 心配そうに、眉間にシワをよせて、オレを覗き込んでいるのは…。 「しずかちゃん…。」 オレの下敷きになっている、しずかちゃんの方が心配だと思うんだけど、しずかちゃんは真剣な顔でオレの体を確認している。 「大丈夫。…有り難う。」 現在の状況から察するに、咄嗟に床とオレの間にスライディングし、抱え込むようにキャッチしてくれたらしい。 …素晴らしい運動神経だ。 「……本当に、ケガとか無い?」 「うん。しずかちゃん、ちゃんとキャッチしてくれたじゃん。」 感謝の気持ちをこめて、ニッコリ笑うと、しずかちゃんは漸く安堵の息をついた。 ………ん? そこでオレは初めて、その場にもう一人いる事に気付いた。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |