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小説
フシギバナ♂
例えばである。
例えば、暴力、酒、ドS、鬼畜、無気力、無邪気。
これが揃うとどうなるか。
答えは、そう。屑である。
どうしようもないくらいの屑。それが俺のフシギバナ。
そんなやつが俺のパートナー。どうしてこうなった。
親に反抗して、家出もどきをしたせいか。
ああ、確かに、俺が悪いだろう。無一文で、何も持ってこなかった俺が悪い。
なんでそんな俺がフシギバナのパートナーとなったか。簡単だ。まだ12にもなっていない俺に、大人から逃げ切ることなどできない。補導されて終わりだ。
俺はフシギバナに保護(もとい誘拐)されて、今フシギバナの家にいる。
見た目好青年。黙っていればかっこいい。ものすごく優しそうだ。黙っていれば。大事なことだからもう一回いう。黙っていれば優しくてかっこいいんだ。こいつは。
しかし、一緒に生活をして泣きたくなった。
家事ができない、下手したら栄養失調になるというのに、自分は光合成ができるからと放置である。
俺は人間。成長期真っ只中。飯がないと死ぬ。
そんなこんなで、泣きながらに家事をする、ほぼ強制家政婦となっている俺。
昔はパートナーに憧れている時が俺にもあった。
初めてのポケモンを貰って、旅に出る。でなくても、一緒にいて楽しい、そんな夢を見ていた。事実夢だった。
だってこいつは。

「んー?どうしたのー?名無しー?」
「イエ、ナンデモアリマセン」
「ふーん?どうでも良いけど、言いたいことがあるならちゃんと言ってねぇー?どちらにしろ犯すけど」
「    」
「あははー冗談だよー?まだ子供の名無しにはしないよ?そこまで外道じゃないからー」

こいつは変態である。そして日々何をしているのか分からないが、無駄に金のある変態であるとしか言えない。
男である俺を犯してどうする。
冗談とか言って笑っているけど、目が間違いなく本気だ。
どうしようなく身の危険を感じる。
逃げようにも俺は人間、どんなに屑であってもこいつはポケモン。逃げれませんよね、普通!!!!
子供扱いしてるが、俺は知っている。
こいつが俺ぐらいの見た目のやつを犯しているのを。
決して家が狭いわけじゃない。
狭いわけじゃないのに、俺に貸してくれている部屋の隣で行為をしているんだ。
嫌味か。思春期に入ったばかりで背も伸びない俺への嫌味か。
こいつを放っておいて、家に帰ってもよかったんだが、誰も俺を見ない。割と真面目に殺されそうな所にホイホイ帰るほど俺も馬鹿じゃない。
まだこいつの所のほうがましだ。だから、な。

「あー名無しー?お酒買いに行こうかー?」
「未成年だからな俺は!!!!」
「だから一緒に買いに行くんでしょー?」
「行くわけねぇだろ!!!?酒なんて……!」
「んー?名無しー?」

やめろと言えない。間違っても俺は居候のみだ。
大声で言って、怒らせて追い出されても困る。
だから仕方なく舌打ちして、小さく「行く」と言った。
それに対して楽しそうに笑うこいつにそろそろ殴りたいと思った。

「あははーまぁ一人で買い物になんて行かせないけどねー?」
「買い物ぐらい一人で行ける!」
「もうー名無しってばー。悪い奴に襲われたらどうするのー?」
「俺は男だ!襲われねぇよ!!!」

緑の髪の優男。黒縁の眼鏡を軽く押し上げて、嫣然と笑った。
無駄にかっこいいのがまた腹立つ。
こいつは俺をどうしたいんだ。

「名無し。いいこと教えてあげるよー」
「は?」
「名無しは俺のだ。他に奪われるぐらいなら、俺が奪ってやるよ。少しは警戒しろ。じゃないと……食われるぞ……?」
「っっ!!!!!」

耳元で低く囁くこいつに、無駄な反応をしてしまった。
普段の緩さはどこに行った!!
あれですか。キャラ作ってんのかこいつ。

「あははー名無しの顔真っ赤だねー?他に見せないでねー?」
「知るか!!!馬鹿野郎!!!!!」

誰かまともな奴いませんか。
正直この年で胃薬の世話になりたくないです。

お粗末様。

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