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嘘吐き占い(千石)

「今日はラッキーな1日になるでしょう」



朝、習慣的に見ているニュース番組の占いで1位だった。アナウンサーがにこやかに笑いながらラッキー、と告げる。
テレビ画面を見ながら朝食を流しに持って行こうとしたら、机に足の小指をぶつけた。
占いの嘘吐きめ。



「おーはよ!紗季ちゃん」

『……………』

「そんなに嫌そうな顔しないでよ。俺ショックだなぁ」



朝、まだ残る小指の鈍い痛みに苛々しながら下駄箱で上履きを取り出したら横から声を掛けられた。
千石清純。私の嫌いなラッキー男。へらへらしてて年中女の子を追いかけ回してる男子。



「でも俺、今日はラッキーだなぁ。朝から紗季ちゃんに会えたし!」

『…………それは良かったですね』



私をその辺の遊んでる女の子と一緒にされるのは凄く腹立たしいし、派手な男子は苦手だ。
同じテニス部なら南君とかの方が好き。



「………ちゃん、紗季ちゃん?」

『はい!?』



いけない、思考を飛ばしてた。



「足、痛いの?」

『別に、』

「何か歩き方がいつもより変だから」

『別に何ともないから』

「ふぅん、痛かったら言いなよ。おんぶしてあげるよ」



彼はにこ、と言ってひらひら、と手を振り行ってしまった。
ええい、恥ずかしいヤツ。



占いは嘘吐きだ。
小指はぶつけるし、朝から嫌いなヤツに会うし、
嫌いなヤツにときめいてしまったじゃないか


占いの嘘吐きめ。



嘘吐き占い




(明日から占いは見ない)



09.06.06

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