小説
二人の幸せ(幸村)
ぎゅっ。
部屋でテレビを観て居たら、いきなり後ろから抱き締められた。
『ど、どしたの、幸村』
思わず声が上擦った。
珍しく大胆。
いつも、はれんちはれんち煩い幸村なのに、どうしたのか。
『幸村?』
声を掛けるが返事が無いので顔を後ろにもたげてみる。
当の幸村は、あたし首元に顔を埋めて居る。
吐息が当たって少しこそばゆい。
そして、あたしを抱く力がどんどん強くなってく。
…どうしたのか。
されるがままになって居ると、幸村が口を開いた。
『某は』
『幸せ過ぎて、怖いのでござる…』
『???』
何やら話を聞くと、自分の幸せがいつ壊れるかをふと考えてしまい、怖くなったらしい。
可愛いな、幸村。
『でも、何でそれであたしに抱き着く訳?』
聞くと、顔を真っ赤にしながら幸村は云った。
『某の幸せの象徴は、蓮見殿なのだ…。』
『逃したく無いと思ったら思わず手が伸びて居たのだ』
と。
あら。
嬉しい事云ってくれちゃって。
でも、幸村分かってないなぁ。
『幸村』
はっと顔を上げた幸村にあたしは云う。
『あたしの幸せも幸村が居る事だよ!!』
そう云って抱き着くと、幸村は、見た事無い位に顔が赤くなった。
でも、見た事無い位に嬉しそうな顔をしていたんだ。
---------
君が居ると幸せ。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!