Xmas*サンタさんにお手紙。
クリスマスイブの夜。
サンタさんはプレゼントを抱え、よい子の元にやって来る。
今年のクリスマス
サンタさんは…
来るのかな?
あのね
サンタさん。
わたしのほしいもんね…。
「名前ちゃん。サンタさんにお手紙書きませんか?」
『おてがみ?』
不思議そうな顔をハルに向ければ、楽しそうに頷き微笑み返してくれる。
「クリスマスイブの夜、サンタさんは、良い子の所にやって来て、プレゼントをくれるんです。そこで、事前にサンタさんにお手紙を書いて、欲しいものをリクエストしておけば、名前ちゃんの欲しいものを届けてくれますよ」
『よいこにプレゼント…』
「はいっ!」
プレゼントと言う魅力的な言葉に、瞳を輝かせる名前に、ハルは笑って頷く。
その頷きを見ながらも、ふと考え込む名前。
「はひ?どうかしましたか?」
今の会話で、名前の悩むポイントが分からない。
悩む理由を知ろうと問い掛けると、名前は、不安気な顔をゆっくりハルに向けた。
『あのね、ハルちゃん。わたし…よいこ?』
どうやらサンタさんに、よい子認定されているの?と、自問自答していた様だった。
『はひっ!?当たり前じゃないですか!!名前ちゃんが、よい子じゃなかったら誰がよい子なんですかっ!?』
超ー力説なハルに、一瞬ポカーンとした顔向けるが、よい子と言われ、嬉しそうな顔になる。
『ほんとぉ?』
「はいっ。もちろんです。名前ちゃんは、既に、サンタさんのよい子認定をクリアーしてます」
何故か、エッヘンと自慢気なハル。
『よいこにんて??』
「認定です!えっと…とにかく、よい子だよって事ですよ」
説明を何気に省略して頷くハルに、そうなんだぁ〜っと、コクコクと頷き返す。
『ハルちゃん!あんね、わたしよいこにんてなの、きょうやくんにおしえてくんねっ』
「はひっ!?」
嬉しそうに、サンタのよい子認定をクリアーしている事を、早速、雲雀に教えに行こうと立ち上がる名前に、ハルは慌てて名前の服を掴む。
『うわぁ?ほぇ?ハルちゃん??』
走り出そうとした瞬間に捕まり、思わず声を上げる名前を、後ろからぎゅっと抱えたハルは、名前に向き合うように体勢を変える。
「雲雀さんは、えっと、きっとお仕事中で、お邪魔になると大変です。それに、サンタさんに早くお手紙を書かないと、クリスマスに間に合わないですよ!」
ハルが、慌てて名前を引き止めたのには、他の理由もあった。
実は、以前にも同じ様な事があり…。
名前と話していると、『きょうやくんにおしえてくんね』そう言って名前は、雲雀の元へと行ってしまった。
まぁ、すぐ戻るのだろうと思ってそのまま行かせたのだが、何時になってもなかなか戻って来ない。
何かあったのではと、心配して見に行けば…雲雀は、はしゃぐ名前を膝に乗せたまま書類に目を通して仕事をしていた。
今回も、有り得なくない。
いや、絶対ある。
ラブラブなのは、分からなくもないのだけど…。
今日は、自分にとって大切なミッションがあるのだ。
少し気も引けたが、引き止める言い訳を言えば、名前は、残念そうな顔をするものの、頷きながらちょこんとその場に座わり、素直にハルの言う通りにする。
名前ちゃん。すみません…ハルは、意地悪い人になっちゃいました。
心の中で反省するハルに、気が付く筈もない名前は、既に気持を切り替え、サンタさんへの手紙を書く事に、ワクワクしながらスタンバイしていたりする。
『ハルちゃん?ハルちゃん?どしたの?』
「はっ!!な、なんでもないですよっ」
反省中のハルを、覗き込む名前に慌てて、手を振り誤魔化す。
『だいじょぶ?』
心配そうにハルの腕にくっ付く名前。
それがまた、なんとも可愛く、ハルのハートを鷲掴み。
反省顔が思わず綻び、名前の柔らかい髪をを撫でると、気持ちを切り替え笑いかけた。
「で、では、サンタさんに、お手紙を書いて、欲しいものをリクエストしましょっ」
『うん!!えと〜っ。ほしぃもの…』
「そうです!サンタさんに、名前ちゃんの欲しいものリクエストですよっ」
ハルは、持って来ていた可愛い絵柄の便せんと封筒を、鞄から取り出し、手紙を書くスタンバイをする。
「名前ちゃんは、まだあまりうまく文字が書けませんから、お手紙は、ハルが代筆しますねっ。では!名前ちゃん!どうぞっ」
う〜ん。
悩む名前。
ふふふ…。
なんて名案!これで、名前ちゃんの欲しい物をリサーチすれば、クリスマスプレゼントは完璧ですっ!!
自分の作戦に、満足そうに頷くハルの横で、一人前に腕を組んで悩む名前は、う〜んう〜んと、唸り続けている。
「そんな悩まなくても…。今、一番欲しいものですよ。ぬいぐるみとかぁ…オモチャとか…ないですか?」
悩んだ末、思い付いたのか、顔を上げる。
『ハルちゃん!』
「ん?」
『なんでもへーきぃ?』
『平気ですよ』
ハルがそう答えれば、嬉しそうに笑うと、名前の欲しい物を書き留めようと、ペンを握るが…。
『あ、あんね、おてがみね、わたしかく』
「はひ?でも名前ちゃん…まだ、文字が少ししか書けないですからぁ…。遠慮しないでくださいっ。ハルが書きますよっ」
不思議な名前文字を書かれては、ハルに解読不可能。
それは、なんとしても阻止したい。
『あんね、ほしいもんのえにかくよっ』
「絵…ですか?」
コクコクと頷くと、お絵描きセットを取りに行ってしまった。
「う〜ん。絵…私に分かるでしょうか?これでは…名前ちゃんが欲しいものがリサーチ出来ないです。
どうしましょう困りましたぁ」
ハルは、一人ブツブツ言いつつ苦悩する。
お絵かきセットを手に、ハルのもとに戻って来た名前は、早速、絵を描き始めた。
鼻歌混じりで描く名前の側で、手元を覗き込むものの…やはりその絵は、何が何やら分からない。
「名前ちゃん、リクエストのそれは…何を描いてるんですか?」
覗き込むハルを見上げる。
『あんね、これわねっ……うっ!!だめっ!!ないしょだもん』
思わず答えてしまいそうになるのを思い止まり、手で隠してしまった。
『サンタさんだけにおしえんの』
真剣。
「あ、で、でも…もし、サンタさんが分からないーなんて事も…」
『う?』
名前は、ピタリと描く手を止めると、口を尖らせ目を潤ませる。
「はひっ!?名前ちゃん?どうしましたか?」
『サンタさん…これ…わかんない?』
じっと自分の描いた絵を見詰めるながら小さく呟く。
名前の欲しい物が知りたくて、思わず口にしたハルの言葉に、落ち込でしまった名前に気付き、慌てるハル。
「はひーっ!!名前ちゃん!ちっ、違いますよっ、もしかしてって事で、よい子の味方のサンタさんが、よい子である名前ちゃんの絵が分からないなんて事ある訳無いじゃないですかっ!!!!ノープログレムですっ」
『う?ほんとぉ』
心配そうにハルを見上げる名前の瞳を受け、心配ないと自信ありげに大きく頷くハルであるものの…目的が達成出来ていない事に、はたっと気付き、失敗したと、ガックリと肩を落とした。
「……くぅ」
こ、これではもう何が描いてあるか聞けなくなっちゃいました!
どうしたら…。
あ〜っ
もうこうなったら、なんとか自力で解読するしかありません!!!!
*********
「で、オレにどうしろって言うの?」
ハルから手渡された1枚の紙を見終わると、視線をまたハルに戻し、溜め息混じりで手にした用紙をハルへと返す。
「ツナさんなら、この絵、何か分かるんじゃないかなぁと…」
数時間。名前の描いた絵を解読しようと一人格闘したものの、どうやっても分かららない。
「一人より、二人です。なんか、ヒントでもいいんですぅ。ツナさん、意地悪しないで教えてください」
再び、ツナの顔の前に絵を広げて見せる。
「オレ、別に意地悪してないだろ。これ見てヒントなんて…」
あっ…。
一瞬思い付いたツナだったが、いやいや無理だと首を振る。
「な、なんですか?ツナさん!思い付いたなら教えてくださいっ!」
真剣な眼差しのハルに、無理だよと言う顔を向ける。
「ハルは、藁にも縋る思いなんです!ツナさん。お願いします」
ズイズイと迫力で押して来るハルを、勘弁してよと押し返す。
「ヒントになるかどうか微妙だけど…雲雀さんならもしかして、何か分かるんじゃないかなぁ」
「え゛…」
ツナの意見に、フリーズ状態で唖然とするハルに、「だから無理だろ?」そう苦笑いで零す。
「ハ、ハル?」
「ツ、ツ、ツナさん…ハルには、そんなデンジャラスなこと…
無理ですぅ〜っ」
ねえ、サンタさん。
よい子へのプレゼントは
何を送りますか?
2009/12/13
* ATOGAKI *******
あと少しで…クリスマスって事で、先ずは、プレゼントリサーチなハル。
今回、なんかハルが主役な感じになってしまいました…。
そして、雲雀さんの出番が…ない。
さて、続きはクリスマス当日ネタか?はたまた…
まだ、自分でもって予想できません。
なんて…行き当たりばったりなんでしょう(+_+)
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