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はろうぃん*いち
10月31日
楽しいハロウィンを過ごしましょう。


とある…沢田綱吉邸の一室で、なにやら楽しげな声が聞こえてくる。

「ん〜我ながら、ホレボレする出来栄えです!」

『ねぇねぇ。ハルちゃん。かわいい?』

「はい!もちろん!ベリーキュートですよ」

名前は、ハルお手製のコスチュームを身に纏っている。
黒い布地に所々に小さな黄色い星が散りばめられた尖がり帽子をかぶり、服は黒のワンピース。
そして肩から、ジャックランタンの形をしたポシェットを下げ、手には、キラキラの星が付いたステッキを持っている。

ハルイメージ!可愛い魔法使い。


「ではいいですか、みんなさんにお会いしたら、お菓子をくれなきゃいたずらするぞって言うんです」

ハルの言葉にコクコクと頷く名前。

「そしたらですね、名前ちゃんはお菓子をもらえるんですよ」

何故か自慢気に話すハルに、キラキラした瞳ですごぉーい!と見開き驚いた顔を向ける。

『おかしいっぱい!もらえるの?』

「そうです!ハロウィンというのは…まぁ…簡単に言うとそう言うお祭りなんです。え〜では、まず、練習です」

『はろいんてすごいんだねー』

ワクワク顔の名前。

「その為にも練習が大事です」

ハルは、先生の様に名前に向かい、エッヘンと少し胸を反らしながら人差し指を立てると、先程のセリフの復唱を名前に促す。

『んと〜ぉ。おかしくんないとぉ〜ぉ!いたずらしちゃうよぉぉぉ〜っ』

両手をあげながら、元気に叫ぶ名前の声に、頷くハルは「はい!もう一回!」と、繰り返す。

懸命な練習真っ最中の二人の様子を、扉の隙間から可笑しそうに伺っている人物がいる。

「そう言えばこの間ハルが言ってたなぁ。ハロウィンかぁ…」

ドアにもたれ掛かりながら、名前の可愛い声に、またクスクス笑い聞き耳を立ててる。

「10代目?どうかしましたか?」

廊下で立っていたツナに、通り掛かった獄寺が不思議そうな顔を向けている。
ツナは、獄寺に向かって、自分の口元に人差し指を立て「し〜っ」とジェスチャーをしながら、獄寺に近付き肩を押すとその場から歩き出だした。
「じゅ、10代目?あっあの〜一体何が?」

訳も分からず問う獄寺に、ツナは可笑しそうに笑う。

「あー面白いなぁ。今ね、ハルと名前ちゃんが、今日のハロウィンの練習をしてたんだよ」

「ハロウィンですか?」

「そう。内緒の猛特訓みたいだったから邪魔しちゃ悪いでしょ?」

「はぁ…猛特訓ですか…」

ハロウィンで猛特訓てどんなだ?と呆れた声の獄寺に、ツナはクスリと笑う。

「大分、隼人の所にも来るんじゃない?」

「何がですか?」

「ん?可愛いお化け…あ、あれは可愛い魔法使いか。お菓子を貰いに。あ…でも、お菓子がない方がイタズラしてくれるからその方が面白いかもなぁ」

後半の言葉は独り言のようにも聞こえる。
そして、ふうと一息つくと「魔法使いがイタズラしに来る前に、仕事片付けて来るよ」そう言うと、獄寺にヒラヒラと手を振りながら執務室に向かって行く。
廊下で一人残された獄寺は、ツナが立っていた部屋の方角をチラリと見つめポツリと呟く…

「ハロウィン…。オレ、お菓子なんてもってねぇ…」



「う〜ん。カンペキです」

ハルが両手を上に思い切り上げ大きな丸を作ってOKマークを出しながら満足気に頷く。
それを見て、名前は『やったあ〜』と嬉しそうに飛び跳ねる。

「さぁ〜っ!!練習の成果を発揮しに行きますよ☆」

『うおーっっ!!』



そして…
意気込みながら、先ずはと一つの扉の前に向かい立つ二人。

「いいですか。このお部屋にツナさんがいるはずです!ハルがツナさんの今日のスケジュール確認しておきましたから」

『うん』

「ハルは廊下でお待ちしてますからね。名前ちゃん行ってらっしゃい」

名前の背中をそっと押し、扉開け部屋の中へとそっと促す。
頬を高揚させながら、名前の中で目一杯こっそりと部屋に入る。
そんな名前に、ツナが気が付かない訳も無いが、あえて気付かぬ振りで手元の書類に目を通すものの…口元は笑いを堪え切れていない。

そこに、名前は驚かせようと、高く幼い声で練習の成果を披露する。

『つなさん!』

名を呼ばれ、ワザとらしくも驚いた顔で名前を見る。
ツナのその表情で、第一段階は成功と思ったらしく、満足気な名前。

『んとぉ〜あれ?』

意気込み過ぎ、次の言葉を忘れてしまい、んとぉ〜んとぉ〜と考え込む。
そんな名前が可愛くて、クスクス笑いながらもセリフを大人しく待つツナ。
その名前の背後で、扉を少し開けて見ていたハルが慌てながらも小声で名前に次の言葉を伝えると、『あっ!!そうだったぁ』と思い出しセリフを続ける。

『お菓子をくれないと、いたずらしちゃうよぉ〜』

最後まで言うと、任務完了したとニッコリ笑い、扉の外にいるハルの元へトコトコと歩いて行く。

「はひっ!!名前ちゃんまだです!!まだツナさんからお菓子をもらってませんよ」

慌てて手を振るハルに、あっそうだった!と、ツナの元に戻りもう一度セリフを言う。

『お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうよ?』

ツナに笑い掛ける。
そんな名前に、困った顔をすりツナ。

「イタズラされるのは困るなぁ。でも…こんなに可愛い魔法使いならイタズラされてもいいよ」

イタズラっぽく笑うツナに、あれれ?と目をパチパチさせる。

「あはは。嘘だよ」

笑って可愛くラッピングされたお菓子を出すと、名前の手に渡す。

『うわわわぁ。これもらっていいの?』

「どうぞ」

『ハルちゃ〜ん!!!もらったぁ』

ツナは、そんなはしゃぐ名前を見ながら扉に近づくと、外に居るハルを部屋の中へ招き入れる。
開いた扉に立つツナの横で、ハルは名前に微笑む。

「良かったですね〜名前ちゃんの頑張りの成果ですよ!」

『せいか????』

キョトンとした目でハルを見る。

「えっとー!よく頑張りましたってことです!ねっ、ツナさん」

「まぁーそういう事かな」

『おおお!!!ほめられた!ってことわぁーえらいってこと?』

褒められ『えへへへ…』と照れ笑いをし、ハルにツナからもらったお菓子を嬉しそうに見せる。

『ねーねーこれ、ハルちゃんと、ツナさんももいっしょたべよっ』

「はひ?それは、名前ちゃんの独り占めでいいんですよ!それに、まだまだ他の皆さんの所にも行かないとです!」

『これ…全部わたしの?』

お菓子を見つめていると、ポフリと名前の頭の上にツナの手が乗り、名前は顔を上に向ける。

「これは、イタズラされない代わりにオレが、名前魔女さんにあげたんだから、魔女さんに食べて欲しいなぁ」

『うん』

大きく頷くと、『ありがとぉ』嬉しそうにお礼を言う。

「良かったですね。さぁ!名前魔女さん!他の人からもお菓子をもらいにいきましょう」

『うん』

「あ、ツナさん。今は…ツナさんの他にどなたかいますか?」

ツナは少し考えながら、どうだったかなぁと呟く。

「みんな結構出払ってるからなぁ…あ、さっき隼人はいたよ。そうだ!山本も呼ぼうか。
あ…それと…」

なかなか次の言葉を出さないツナを、何だろうと見つめるハルと名前。

「いやぁ…さっき雲雀さんから、後でこっちに寄るって言ってたんだけど…」

『おおぉ???きょうやくん!?』

「はひ??雲雀さん。こちらにいらっしゃるんですか?」

「うん。最初は予定にはなかったんだけどね、こないだフゥ太が持って来た匣に関する情報を見せろって…」

ハルに苦笑いを向ける。

「そうですかぁ〜あ、でも良かったです。草壁さんの話では、今日はお帰り遅いって聞いてましたから!名前ちゃんにとっては、ハロウィンのサプライズ☆です。
ねっ。名前ちゃん」

朝会ったきりで、夜も会えないかもと思っていた雲雀に会えると聞くと、ハルの横で嬉しそうにワクワク顔をしている名前がいる。

「ん〜いつ来るとは言ってなかったし、たぶん勝手に資料見てまた出ちゃうと思うんだよなぁ〜」

その言葉に、浮かれていた名前はガックリと残念そうにうな垂れる。

「そんなぁ〜。あっじゃあ、その資料を雲雀さんが見る前に隠してしまったらどうでしょうか?したら、その資料について雲雀さんが、ツナさんの所に聞きに来る訳でしょう」

名案です!!とツナに提案をする。

「それって…隠したのがオレだって分かったらさぁ、咬み殺されるのオレじゃないの?」

何だよそれ…。抗議の声を出すものの、ハルに「名前ちゃんの為に咬み殺されてください!」と強く押し切られる。

「またオレそんな役なのかよー。その代わり、オレが雲雀さんに咬み殺されたらちゃんと手当てしてくれよな」

「もちろんです!!ハルと名前ちゃんで、白衣の天使になってあげます」


ははは…
期待しないで待ってる。ツナは乾いた笑いを二人に向ける。


そして、雲雀が来る前にと三人は、資料室へと足を運んだ。




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