たなばた(当日) 名前の照る照る坊主の効果なのか 昨日の天気予報が嘘のように晴天となった本日。 7月7日。 軒下に大量の照る照る坊主が吊るされている。 さーさーんはぁさーさぁー♪ 天気なのが嬉しくニコニコ顔。若干歌詞が捏造気味になりつつも、七夕の歌を気持ちよく歌う名前は、窓際に大量に吊るされた照る照る坊主達に元気良く手を振り 『てうてうぼーずさん!はれたよぉー!!ありがとー』 お礼の言葉を投掛ける。 挨拶の後、るんるんとスキップをしながら部屋の中央に戻ると、畳の上に折り紙で作られた色とりどりの短冊が広がっている。 「七夕に短冊へ願い事を書いて笹に吊るすと願いが叶う」と草壁が教えてくれた。 そして準備された短冊達が綺麗で、名前の七夕モードを更に盛り上げてくれている。 そんな、短冊を前に、可愛く首を傾げながらペンを握って、口を尖らせ真剣な眼差しで願い事を考える。 『とーぉ。おねがい…んー』 お願いはいくつまでいいのかなぁ…。 書きすぎると叶わない気も…。 でも、いろいろ書きたい。 一頻悩んでいたが、名前は不意に立ち上がり、短冊を1枚掴むと、廊下に出てキョロキョロと探す。 誰も居ない廊下はシーンとして、パタパタと走る名前の足音が響いている。 「名前。走ると転ぶよ」 不意に聞こえた声に反応し、走る足をピタリと止め、声の主の姿を捉える。 『あー!きょうやくんはっけんん!!』 嬉しそうな顔で雲雀に駆け寄ろうとしたが足が縺れ、ドカッっと大きな音と共に転び思い切り廊下に顔ごと突っ伏してしまった。 『たぁぁぁー?????』 派手に転んで、痛いというより驚いた方が大きかった名前は、目をパチパチさせ転んだままの体勢から上半身だけ起こし、『びっくりしたぁ』と驚きの声を上げる。 「だから、走ると危ないって言ったんだけど」 呆れた声の雲雀に、転んだ事を誤魔化そうと照れた様に『えへへへ』と頭を掻きながら笑う名前。 「怪我は無い?」 名前に近づき様子を見る。膝小僧が少し赤くなっているだけの様で、安堵の顔をする雲雀。。 「顔が潰れなくて良かったね」と、意地悪そうに笑い名前の顔を撫でる。 『かおつぶれないよ!!』 膨れっ面を雲雀に向け抗議をする。 そして、名前は手に掴んだままの短冊の存在を思い出し、雲雀の目の前に差し出す。 『これかいて』 雲雀に差し出した短冊は、転んだ時に思い切りギュッと握ってしまった為に、ぐしゃぐしゃになっている。 それを受取りながら、しげしげと紙を見つめる。 「これ何?」 『たんざく』 「これ…既に短冊じゃ無くなってない?」 そんな雲雀の言葉を気にする様子も無く、嬉しそうに雲雀の願い事を期待している様だ。 『きょうやくんも、おねがいかいて』 ニコリ。お願いポーズの名前。 それは、可愛いのだが…お願いにそっけない回答が帰って来た。 「願い事は自分の力で叶えるから、短冊は必要ないよ」 『えええー』っと不満の声を上げる名前。 「他人に叶えてもらいたくないし」 雲雀のために用意された、短冊は、願い事を書く役目を果たせないままただ哀れにクシャクシャの状態を曝している。 『えーつまんないー!』 それでも、やっぱり書いて欲しくて名前は、しつこく雲雀の足に絡んでいる。 「じゃぁ、僕の代わりに書いておいてよ」 名前の頭を撫る。 『かわりだめだよぉ』 名前の意見は取り入れてもらえず、雲雀は「また後でね」と、行ってしまった。 廊下に取り残された名前は、不満な顔で雲雀の後姿を見送りながら 『わたしかいたら、きょうやくんのおねがいとちがうもん きょーやくんのいじわるーぅ!!!!』 ぶーっと、遠くなる雲雀の背中に名前の声が木霊する。 雲雀は、その可愛い不満の声を背中で受け止め、歩きながらクスクス笑った。 結局、雲雀のお願い事はもらえず、渋々部屋に戻ると、自分の願い事に専念する。 いろいろ考えた末、願い事の短冊を数枚書いた。 が、幼い名前は、まだ文字が上手く書くことが出来ず、自分なりの名前文字で書かれているためその短冊は、他人には解読不可能。 その短冊を楽しそうに笹に吊るす。 『あーあー、きょーやくんのも、いっしょおねがいしたかったぁ…』 最後は、その不満が残る。 楽しいのに、不満気味。難しい所である。 「上手に短冊が飾れましたね」 草壁が、名前の様子を見に訪れ、短冊が飾られた笹を楽しげに眺める。 『あ、てつさん。ねーねーこれかいて』 背伸びをして、背の高い草壁に短冊をぐいぐいと押し付ける。 草壁は短冊を名前から受け取り、少し考え、短冊にサラサラと願い事を書き笹に吊した。 『なんてかいた?』 草壁の吊るした短冊を興味深げに背伸びをして見ているが、まだ上手く読み書きが出来ない名前には内容が分かる訳も無く、草壁に読んでもらおうと、ねーねーと草壁のズボンを引っ張っている。 「秘密です」 『えー。てつさんけちんぼーぉ』 ふて腐れた顔の名前。 それを見て、可愛くて思わず笑う草壁。 「ところで、名前さんは、なにをお願いしたんです?」 名前の書いた短冊に目をやるが、草壁に名前文字を解読することは出来ない。 『てつさんには、おせーないもん』 ぷいとそっぽを向く。 そして、やはり草壁の書いた短冊が気になっているらしく、草壁と短冊をチラチラと見ながら教えて欲しそうな名前。 「私のお願いは、恭さんにでも読んでもらってください」 『えー』 「この笹は縁側に飾りましょうか」 七夕飾りは縁側の柱に飾られ、七夕ムードがまた更にアップした。 名前は楽しそうに笹の周りをちょろちょろと動いてそれを眺める。 そして、早く夜になって織姫と彦星がデートしないかなぁ…とワクワクとしていた。 夜になり、夕飯を終えた雲雀と名前は、七夕飾りが飾られている縁側で夜空を見上げている。 夜空は晴れ晴れとは行かないながらも、雲の隙間から月といくつかの星の瞬きが見える。 もともと、並盛町から天の川は見えないが、それでも名前は、織姫と彦星の七夕デートに思いを馳せ夜空を眺める。 その横で、雲雀は草壁が用意した日本酒を静かに飲んでいた。 『おりひめと、ひこぼしはぁーあえてるかなぁー』 「雨じゃないからね、会えたんじゃない」 『そっかーよかったぁー』 ホッとした名前。 『くもがあってもでーとできる』 「雲は関係ないよ。それに…」 『それに??』 名前は雲雀の言葉の続きが気になって、近づいて顔を覗き込むと、雲雀は名前の体を持ち上げて膝の上に乗せ、名前の頭の上に自分の顔を乗せ言葉を続ける。 「誰にも邪魔されたくなくて、雲で隠しているんじゃない?」 『そっかー』 雲雀の言葉に、納得して頷く名前。 「楽しい時間は独り占めにしたいからね」 雲雀は、杯に入っている日本酒をくいっと飲み干すと杯を床に置き、空いた手で名前を大切そうに抱き締める。 『うお?』 日本酒の量がいつもより多目なのか、ほんのりと赤い顔の雲雀が妙に艶かしく色っぽく見える。そして、縁側の二人の空気がいつもに増して、甘い空気が纏っているようだ。 「ねえ。短冊のお願い事、何書いたの?」 甘い声で名前に聞く雲雀。 『ひみつ』 雲雀の顔を見上げて得意げな顔。 「僕に内緒は駄目だよ」 雲雀は、名前を更にギュッと抱き締めるとクスクス笑いながら名前の耳元で「おしえなよ」と囁く。 『うーっ!!!くるしー!!!おねがい、なんこもかいたのぉー』 「じゃあ、その中の一番のお願いだけでいいよ」 雲雀の膝の上で苦しいせいなのか、願い事を教えるのが恥ずかしいからなのか分からないが、ジタバタと暴れていたが観念したのようで、小さな声で 『あの・・・ね、』 「うん」 『・・・きょうやくんと、ずーっといれますように…てぇかいた』 「ワオ」 名前はもじもじしながら、大きな瞳で雲雀を見つめると、上から雲雀の顔が近づいて来て、頬にチュッとキスをし、名前の髪を愛おしそうに撫でる。 「それは、お願いしなくても叶うよ」 『かなう?』 名前の問いかけに「当たり前でしょ」と雲雀は、微笑む。 「僕が離さないから」 上空でもラブラブな二人がいる七夕に、地上のココも負けない程のラブラブな二人の7月7日。 ** おまけ ****** 『そうだぁ』 「なに?」 『てつさんかいたたんざくー!!!!よんでぇ』 「哲も書いたの?」 『うん。なにかいたのてきいたら、きょうやくんによんでもらってってぇ』 雲雀は、幾つか飾られた中の短冊に、1枚達筆な字で書かれたものを発見し手に取り短冊に書かれた願い事を見つめる。 [恭さんと名前のラブラブがもう少し…抑えてもらえますように。] 動きが止まる雲雀。冷ややかな雲雀の顔により、周りの空気の温度が数度下がった。 「ワオ。何これ…願い事と言うより…僕に対する挑戦状?」 その横で、短冊が見たくてぴょんぴょんと飛び跳ねる名前。 『ねーねー。なんてーかいてあんの?』 短冊の内容が知りたくて、興味津々に雲雀にくっ付いている。 「ん?ああ、僕が、名前にキスしますようにって書いてある」 『お?』 チュッと名前にキスをし、頭の中ではここには居ない草壁をどう咬み殺そうかと思案する雲雀であった。 草壁危機一髪!!! 2009.7.8 * ATOGAKI *******2009.7.9加筆訂正 うわー!!!やっぱり、7日UPは出来ませんでしたー とりあえずダダダーって書いて…しまいました。 チェック入れてないんでもー凄いほどに誤字脱字の嵐かと…。手直しは、後日します!! もーとりあえず間に合え!!的に…すみません。 (7月9日若干加筆訂正行いましたぁでも、ちょっと…グダグダ気味??) そして、なんじゃこりゃー!な話っす すみませんです!あー雲雀さーんゴメンなさーい でもーイチャイチャして欲しかったんですぅ 妄想女ですから許してぇ(≧◇≦) 空回りなのが拭えませんが、自分的には楽しかったっす。えへへー [*前へ][次へ#] [戻る] |