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たなばた(前日)
ぷぅ…と、柔らかそうな頬を膨らませながら不満気な顔で、雲雀を見つめる名前。
雲雀はその顔を、不思議そうに見つめる。

「何か、不満?」

だって…と言い、名前は体全体で不満な気持を体で表現したいようで、雲雀の側で転がり、両手両足をバタバタつかせ駄々を捏ねて居る。

『かあいそお!!』

「仕方ないでしょ」

素っ気ない返事に、更に不満が溜まる。

『うー』

「名前には関係ないでしょ?」

そう言われてしまえば何とも返しようがなくて、唸るしかない。

『やだもん…』

ぽそりと呟く。
雲雀は、呆れた顔をしながら手元の本をパタンと閉じ横に置くと、ジタバタしている名前を引き寄せて自分の膝に乗せ、あやすように頭をポンポンと撫でる。
膝の上の名前は、まだ機嫌直りきれずへの字な口になりながら、雲雀を見上げる。

『だて、1かいしかあえないのやぁ!』

「本人達が悪いんでしょ?」

『でもずーっとわ、ひどいぃぃーそのおはなしきらい』

ぷいと顔を背け、雲雀のそ側の本を指差して、意地悪しちゃだめなのと足をばたつかせる。雲雀は、ため息を付きながら、その本の表紙に書かれている題名を見る。
「織り姫と彦星」
夕食の後、名前に雲雀が読んだ絵本。

織り姫と彦星の2人が、1年に1回しか会えないののが、名前にはどうしても納得いかずご機嫌斜めになっている。

「明日は七夕だから、2人は会えるでしょ」

『でもね、もーっといっぱいいっしょいたいよ』

「まぁ…明日天気良くないみたいだから、雨だと今年は会えないね」

何時までも膨れている名前の髪をいじりながら、意地悪く笑って言う。
その台詞に、ビックリしたような顔をする名前。

「雨だと天の川を渡れないからね」

『うぇぇぇー!!!!』

これ以上にないと言う程の叫び声をだして雲雀の膝から立ち上がる。

『た、たいへん』

「名前が慌てても仕方ないから」

慌てる名前を面白くてクスリと笑う雲雀。

『どおしよ!どおしよー!!』

意味もなくジタバタしていたが、名案を思い付いたらしく動きを止めると、瞳をキラキラさせニコニコ笑って雲雀の方を向く。

『てるるぼおずつくるぅ』
名案を自慢する。

「てるるじゃなくて、照る照る坊主でしょ?」

『うん!!てうてうぼーずぅ』

「(言えてないから)」

『きょうやくんも、いっしょつくって』

明日の織り姫と彦星のデートの為に、雨が降らないようにと一生懸命「照る照る坊主」を作る名前。
とは言え、小さい名前が作るそれは、なんとも…照る照る坊主と呼べる品に程遠いが、本人的には満足しているようで、ニマニマ顔になっている。

「ねぇ、いくつ作るつもり?」

一つ作り終えた照る照る坊主を手にしながら、懸命に量産している名前に雲雀は問い掛ける。

『すごーくいっぱい』

両手をこれでもかというほど広げる。

『きょうやくんも、もっとつくるのぉ』

口を尖らせて、非協力的な雲雀に不満の声を投げる。

「……」

絵本の選択を間違えた…。
少し後悔の雲雀は、2つ目の照る照る坊主を作ると、照る照る坊主の山に向かって投げた。



たなばた(当日)に続く
2009.7.7
* ATOGAKI *******
番外編なのに、前後編分け
別に…1本でもいいかなぁ?とも思いましたが
区切りが良い気がしたので(^_^)

では、後編でまた♪

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あきゅろす。
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