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○ゆーまとやっちゃん
アイドル気分で★ゆーまくん



「………あッ」

ころころころん、と音を立ててPSPで必死にゲームをしている友達が自転車から、

「ゆうまああああああああああっっっ;;」

落下した。

「あーん、痛いッ☆」

そう言って可愛く起きあがる夢甘(ゆうま)の頭からは血が流れ(多分打った)、彼の右目あたりまでも伝う。
明らかに素人が見てもそれは重傷で、それでも気楽にPSP使用再開。僕はこんなのじゃ倒れないよッ☆とまでイイタゲです。

「…ゆーま、学校戻るぞ」
「なんで?」
「頭だよ頭!!超血ィ伝ってんじゃんか!!(自転車グルッとUターン」
「僕はあんなのじゃ死なないもん!!(ネクタイ引っ張る」
「ゆーま首!!首締めてますから離して!!」

ぐぎぎぎと嫌な音を立てる俺のネクタイ。あら、あれはお花畑。あちらにいるのは去年死んだじいちゃんかな?

「まあいっか」

急に夢甘が手を離したもんだから俺の頭は突如前へ進む進む。それは前へ倒れるという現象だったのが、あえてここは深く描写しないでおこう。今度は自転車と俺が転倒し、後ろに乗っていたはずの夢甘が自分だけ助かれば良いという顔でPSPに熱中していたのは無視しよう。

「よし…保健、…室……行くぞ…」

ふらふらと自転車はすすみ、学校に着いて校舎内を歩きます。
保健室に行く途中、夢甘が

「僕ねえ、理想の王子様がいないかなあって思ってるんだよね」

と、頭から未だ止まらない血をモノともせずに語りはじめるのです。

夢甘は男も女も関係無く人気があるせいか、本人の恋愛対象には性別の壁が存在しないらしい。

「へえ、どんな」
「あのねえ。容姿とかは関係なくて」

にっこり笑って、

「マンホールから白馬と一緒に出てくるの!」
「無理だろ!!なに考えてるんだよ馬なんて入んねえよ!!
 だいいちなぜにマンホール?!」
「じゃあやっちゃんのタイプはどんなひとなのさ」

やっちゃんは俺のあだ名である。本当は恭大(やすひろ)。

「だいいち俺は男より女が」「しっつれーしまーすッ♪(ガラッ」

俺を丸無視して保健室の扉を開けたゆーま。ちょ…なにそれ。

仕方なく気の進まないまま俺は保健室に入る。




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