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VOC@LOID
☆怖い夢


*オリジナル亜種登場注意








『君は………誰?』

伸ばしたその手を握ることなく、

俺はただ問いかける。


『…ねえ……君は』“おいでよ”


ちゃんとした声ではなく、

どこか遠くから響いてくるような__

そんな声。






“おしえてあげるよ”


『え………?』

“だから、おいで”


寂しそうに微笑む、顔。


声も容姿も男女の見分けはつかない。

レンは、手を取った。


瞬間、相手が走り出した。




引っ張られるようにして着いたところに

………無数の花吹雪。


相手の姿さえもよくみえない。

ただ、


“ぼくのなまえは、るい”

『るい…?』

“なみだ ってかいて、るい”

『君は…男の子なんだね』

“そおだよ”


彼の名前は涙(るい)。

それを知ることができた。



『……君は…なんなの?』

“なんなのって…なにが?”

『どうして、ここにいるの?』


ここは俺の夢の中。

それが自分でもわかるくらいなのに。



“ぼくはねえ…いっしょだよ”

『一緒…?』


“あなたと…いっしょ”




“あ”


『…あ……?』

“もうすぐ、おわっちゃう…”

『なにが?』

“ぼくが”


『…君が?』

“ぼくじしんが、なにもかも”


『どういうこと?』

“きみのせいだよ”


ガガッ…と、ノイズがした。

涙の声に、ノイズがかかった。





“き……みが…る、から……”

『涙…?きこえないよ?涙!』



なにもきこえなくなった。

なにもみえなくなった。


突然、暗闇と静寂が訪れた。



地の鳴り響く音のような声がした。

間違いなく涙の声だと思った。


キ ミ ガ イ ル カ ラ

ボ ク ハ イ ラ ナ イ

キ ミ ガ イ ラ ナ イ ナ ラ

ボ ク ガ ヒ ツ ヨ ウ

そう言っていた。












「はあッ…!」

目を開けた。


「…レン?どーしたの?」

傍らにリンが座っていた。

着替えも済んだらしく、服に着替えている。


「あ…っ、はっ……」

全身汗だく。

鼓動は早鐘を打つし、息も荒い。

涙目にさえなっている自分を、リンが凝視する。

喉の部分に手をやると、奇妙な跡があった。


怖くなった。

どうしようもなく。


「わっ、レン?」

「ッ………!」

「おー、よしよしっ!
   おねーちゃんがいましゅよー」

フザケるリンに背中をぽんぽんと叩かれる。


「…おねー、ちゃん……」

涙声で頼ると、リンは驚きながらも

「どした?レン」


優しい笑みで、抱きしめてくれた。






end

前サイトより。




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