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彼女の秘密
(7)通信と特例
今、ツナはお風呂に行っている。

戻ってくるまでに、なんとしても仕上げなければならない。

私は魔法スティックに意識を集中させた。








「…アリス」


『………』


「………アリス、襲うよ?

『はいはいはーい!なんですか?』


いつの間にか帰ってきたツナは、ブラックスマイルで私を見つめる。


心臓に物凄く悪い…


「…何してるの?人の部屋で


『すいませんすいません、これには深い理由があって…』

ツナの黒い笑顔が怖くて、目をそらす。

「そう…じゃあ、10文字以内で分かりやすく説明して


『短かい…!ってか、無理…!』


「クスッ…冗談だって」


(いやいや、絶対に本気だったよ…!)



「アリス…早く話して?」

『…実は、通信しようと思って…私の部屋は圏外で無理だから…』


そう言ってツナに魔女スティックを見せた。


「ふーん…、そんな機能ついてるんだ、このスティック」

ツナはスティックを受け取ると、珍しそうに眺める。

『うん。人間界でいう携帯電話みたいな感じかな』


「へぇ…でも圏外とかあるんだ」


『魔法が上手く使えない場所を“魔法圏外”、略して“圏外”って言うの』


「ふーん…それでアリスの部屋は圏外なんだ」


『…そうなの…でもツナの部屋は凄く使えるの!電波が良いんだね!』


「(…電波、ね…)」


借りている部屋で何度も呪文を唱えたが、やはり全然使えなかった。

圏外であることに、最初は気づかなくて、スティックが壊れたのかと疑ってしまった。


「…でも何で俺に言わなかったの?」


ギクッ


その事にふれてほしくなかったのだが…。

本気に鋭いな…


『えっと、それは…』


嘘ついちゃって大丈夫かな…なんて思った私が馬鹿だった。


「アリス、嘘ついたら押し倒すよ


ツナは笑顔で凄いこと言いだした。


「嘘ついても分かるからね?超直感あるし」


超直感って…?と疑問に思いながらも、ツナのブラックスマイルに負けて正直に話す。


『…見られると失敗して爆発するの…それに通信の魔法は特に難しくて…』



「(…爆発、って…)」


アリスの魔法は、結構危険だったりする。


「そっか…わかった。じゃあ、通信が終わるまで俺は部屋の外に出てるよ」


『ツナ、ありがとう』


「ううん、気にしなくていいよ」


そう言ってツナは私の頭を優しく撫でる。


『……』


(…なんかツナに頭を撫でられるの、好きだな…)


そしてツナは部屋から出ていこうとした。


しかし―…


「…!アリス、スティックを早く隠せ」


『え?……っ!リボーン、さん…』


いつ入ってきたのか、リボーンさんは部屋の壁に寄りかかって立っていた。


気配が全くなく気がつかなかった。



「ちゃおっス」

「……リボーン」

『み…見られた』


正体がバレてしまった―…


どうしよう…



パートナー以外に魔女であることが知られることは禁じられている。

もし知られた場合は魔法界から永久追放、という厳しい掟がある。


『……っ』



どうしていいか分からずに混乱していると、魔法スティックが急に光だした。


そしてスティックから映し出されたのは、私がよく知る人物。


『お母様…!』


“お久しぶりね、リボーン元気そうで良かったわ”




・・・・・



『………え?なんでお母様がリボーンさんを知ってるんですか?』


「ああ、相変わらず美人だな、マロン」


マロン、それは間違いなくお母様の名前。



そして見事に私は無視ですか…



“ふふ、知ってるも何も、リボーンは私のパートナーだったのよ”


・・・


『えええ!!』


「…!リボーンが…」


お母様のパートナーが、まさかリボーンさんだったなんて


あれ・・・?


それより何か大事な事を忘れているような




『あっ…!私、リボーンさんに正体がバレちゃったんだ』

掟により、永久追放になってしまう…


“あら、アリス。特例を忘れたの?”


『…特例?』


“ええ、他のパートナーとパートナーをしていた者には正体が知られても大丈夫なのよ”


そんな特例あったなんて、私は知らなかった…


“…その様子じゃ知らなかったのね”


『…はい。じゃあ、永久追放は…』


“ならないわよ”


『良かったぁ…』


安心して涙が溢れてきた。

「アリス、良かったな…」

『っ…うん、ツナぁ…』


そして脇にいたツナに抱き着いた。

「……!」

ツナは一瞬驚いたが、優しく撫でてくれた。


“アリス、パートナーと契約はしたのね”


お母様に見られていることに気付き、ツナから少し離れた。



『はい。えっと、私のパートナーのツナ…さんです』

「はじめまして、沢田綱吉といいます。アリスさんのパートナーをさせて頂いてます」


なんか感じが違う…

でも…カッコいい…



“はじめまして、綱吉君。アリスの事をよろしくね”


「はい」


“良かったわ。アリスがどこかで迷子になって、倒れてないか心配だったの…”

そう言って胸を撫で下ろすお母様。


『…………』


さすがお母様…間違っていない…。


迷子になり、魔力が尽きてホウキから落ちたところをツナに助けてもらったんだよね…


…そんな事、絶対に言えないけど…


“ふふ…それに、アリスったら素敵な人をパートナーに選んだのね。”

『…えっと…』


なんか顔があつい…



“あらもうこんな時間…アリス、頑張るのよ。”

『はい…!』


“綱吉君、リボーン、アリスのことをお願いします”

そしてそれだけ言うと、お母様は消えた。



しばらく沈黙が続く…



その沈黙を破ったのはツナだった。

「リボーンがまさかパートナーだったなんて…しかもリボーン…最初から気づいてただろ」


『え…そうなんですか?』

「まぁな。アリスはマロンにそっくりだしな」


リボーンさんはニッと笑う。

ツナは隣で大きな溜め息をついた。


…まぁとりあえず、永久追放にならなくて良かった。

「……ってリボーン、どこいくんだよ」


「…アリス」

『はい?どうしたんですかリボーンさん』

「…そのスティックやべぇぞ…」

『え…?』

「んじゃな」


そう言いリボーンさんは窓から出ていった。


「…っておい、リボーン!何なんだよ、あいつ…アリス?」


『……やばい!爆発し…』
ドゴーンっ!


「………」

『……ツナ、大丈夫…?』

「……ああ、でも…これは…」


目の前には無残な姿になったツナの部屋…


『……ご、ごめんなさい!今、魔法で直します』

「い…いや…魔法はもういいや…とりあえず…」

今夜は徹夜で片付けは決定だな…




おまけ?***

二人で片付け中…

「アリスさ…」

『はい』

「なんでいきなりスティックが爆発したの?」

『スティックに溜め込んだ魔力が暴走したみたい…』

「…そう」

魔法って、恐いね…


続く…!

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