彼女の秘密
(5)魔女スティック
「ここの部屋は開き部屋なの。アリスちゃんの好きに使ってね」
『ありがとうございます、奈々さん』
「アリスちゃん……可愛いわ!!」
『わっ…!』
笑顔でお礼を言うと、奈々さんに、ぎゅうっと抱きしめられた。
「それじゃあ、夕食出来たら呼ぶわね」
『はい』
パタン…
そして奈々さんは夕食を作ってくるわ、と言い1階に降りていった。
奈々さんに貸してくれたこの部屋は、空き部屋にも関わらず綺麗に整頓されていた。
『とりあえず、荷物の整理しよう』
ポケットから出した小さな袋。
『*☆*ё*†‡♪』
呪文を唱えると、一瞬で袋の中から荷物が出てきた。
『……あれ、スティックがない…』
トントン、
スティックを探していると、部屋のドアがノックされた。
『あ、はい。』
「…アリス、俺だけど…入っていい?」
『ツナ!どうぞ』
ガチャ、
『どうしたんの?』
「ああ、部屋の片付け手伝おうと思って」
『ありがとう、ツナ』
「…!」
『?』
お礼を言うと、ツナは顔を真っ赤にして視線をそらされた。
「じゃあ、何から片付けようか?」
『あの…スティックを探して欲しいの…』
「スティック…?」
『あれがないと…凄く大変なことに…』
私の大事な物――…
「わかった、じゃあ一緒に探そうか」
『ありがとう!』
・・・・間
「……ないね」
『……ないですね』
持ってきた荷物は全て、この袋に魔法で入れてきた。
その中に無いということは・・・
『…落とした、かも…』
どうしよう…あのスティックがないと…私…、
「アリス、行くぞ」
『…え?』
「スティックを探しに」
『…でも…』
雨は止んだが、日が沈みかけ、もうじき暗くなってしまう。
それに今探しに行ったところで、見つかるとは限らない。
「大事なものなんだろ?」
『…!うん…』
「なら、探しに行こう」
『うん、ありがとう!』
なんだかツナが、凄くカッコ良く見えた。
奈々さんに事情を話すと、気をつけて行くように言われた。
魔法スティックをなくしたとは言えないので、大切なものを探してくる、と話してきた。
「アリス、どこらへんに落としたか、心当たりない?」
『…んーと、…あっ、もしかして…』
そういえばホウキで飛行中に、カラスに襲われたんだっけ…
私、一応魔女なのに(泣)
たしか場所は―…
「並盛の森?」
『たぶん、そこの何処かにあるはず…ううん、きっとそこにある…!』
私の中の魔女の血が、そう言っている。
「よし、じゃあ並盛の森に行こう」
『ツナ、私のホウキの後ろに乗って』
呪文を唱えホウキを呼ぶ。
良かった、どうやら魔法は成功したようだ。
ホウキは物凄い速さで、私とツナの前まで飛んできた。
「二人で乗って大丈夫?」
『うん!それに、ツナ(パートナー)と契約したから魔力が増えたみたい♪』
「そっか」
ツナがしっかりと掴まったのん確認すると、意識を集中させる。
ふわっ…
「…!本当に飛んでる!」
『ツナ、しっかり捕まっててね』
「うん」
こうしてスティックを探すために、並盛の森へと向かった。
「………アリス…」
『ん?どうしたの、ツナ』
「逆方向なんだけど…並盛の森は、あっち」
そう言ってツナが指差す方向は、確かに逆の方向だった。
『……てへっ☆』
「……………」
無事に着くか、不安に思うツナだった。
「(でも…まぁ、アリスと二人で行けるからいいかな…)」
『…うう、なんか気持ち悪くなってきた…』
「…………」
…本当に、大丈夫かな…
続く☆←
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