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彼女の秘密
(9)誤解
よく晴れた昼下がり。

今日は休日なので、ツナは山本君達と朝早くに出掛けた。

それに、ランボ君やビアンキさん、奈々さんもみんな買い物に行っている。



『いい天気…絶好の飛行日和だな…』


なんて呑気(のんき)な事を考えていた。


久しぶりにゆっくり過ごせる…なんて思っているのも束の間…


「たのもー!!」


『……だれ?たのも…?』

いきなり響いた声。

その声は、玄関のほうから聞こえてきた。

ベランダから身を乗り出し玄関のほうを見下ろすと、小柄な女の子が二人立っていた。




『……お客さんかな?』


現在家に居るのは自分以外に誰もいなくて、そんな状況で勝手に知らない人を家に入れて大丈夫なのか…


アリスは少し悩んだ結果―――


『……まぁ多分、大丈夫だよね、怖い人じゃなさそうだし♪』

……という結論を出した。


急いで階段を降りて、玄関のドアを開いた。

ガチャ

『こんにちは』


「あ、こんにちは。えっとあなたが…アリスちゃん?」

ふわふわした短い茶色の髪の女の子が話しかけてきた。

『はい、はじめまして。えっと…』

「あ…、ごめんね。私、笹川京子。こっちがハルちゃん。私達は、ツナ君の友達なんだ」

名前を聞いた子は、笑顔で自己紹介してくれた。

もう一人の、…ハルさんはずっと無言で私を睨んでいる。


…どうしたのかな…?



そして、ハルさんは私に近づき口を開いた。


「アリスさんは、ツナさんの何ですか!」


『え…?』

そう言いながら私を指さす。

…なんか、怒ってる?


「ハルちゃん、そんないきなり…」

「だって、京子ちゃんは気にならないんですか!」

「それは…気になる…けど…」

京子さんは私をチラッと見た。


「なので、はっきり答えて下さい!!アリスさんとツナさんの、か・ん・け・い!」



『えっと、ツナと私のパートナーだよ』

「パートナー…?」

『はい』

「それは一体、何のパートナーですか?」

『…えっと、それは…』

正直に話せば、魔女だと教えなければならない――


『……』

「…アリスちゃん?」

黙る私を、京子さんは心配そうに見てくる。

「…どうして答えてくれないんですか!やっぱりツナさんとアリスさんは危険な関係なんですね!」


『…いや、あの…危ない関係って…?』


「誤魔化しても無駄です!…ハルは、アリスさんに勝負を申し込みます」


『……え?』

いきなり勝負を申し込むハルさん。
何が何だか全くわからない…


「ハルちゃん、落ち着いて!」


「落ち着いてられません!アリスさん、いざ尋常に勝負です!」


『あ、』


ハルさんはそう言うと、どこから出したのか、薙刀(なぎなた)を構える。

え…ちょ、危ないよね…?


『ハルさん、待ってください!』

「問答無用です」


必死の訴えも聞いてもらえず、ハルさんは薙刀を持ち、こっちに向かってくる。

私は何も持ってないのにー(泣)

「ハ、ハルちゃん、待って!」

京子さんの声も全くハルさんは聞かず、私のほうに走ってくる。

あれ(薙刀)刺さったら痛いよね…!?


私はハルさんから逃げるため家の中へ急いで入った。

玄関の鍵を閉めずに・・


「アリスさん、覚悟です!」

『きゃああ』

家の中に入ってきたハルさんに、ベランダに追い詰められた。

…やばい、絶体絶命…!



“アリス…助けてあげるよ”

『…!誰…?』

頭に直接、声が聞こえてきた。

ぼうっ…


「はひっ…!」

『…!!』

「ハルちゃん…!」


薙刀が急に傾き、それによってバランスを崩したハルさんはベランダから落ちる。


『危ない…!』

ベランダから落ちるハルさんを追って、私は飛び降りた。

そしてなんとかハルさんの手を掴むことができた。


ぽうっ…

「…!浮いてる…」


魔法を使いハルさんを抱えると、ゆっくり下に降りた。


・・・ん?魔法を使い…?

『………』

あっ…、やばい…

とっさに魔法使ってしまった


「……」

庭へ無事に着地すると、ハルさんは無言で私を見つめる。


…ど、どうしよう…!


「ハルちゃん!アリスちゃん!」

走って駆け寄ってくる京子さん。

そして京子さんは、私をじっと見つめ、口を開いた。

ああ…私、終ったかも…


「アリスちゃんって、…もしかして、魔…」

「アリスはマジシャンなんだぞ」

・・・え?


「「リボーン君(ちゃん)!!」」


「チャオっす」


『リボーンさん…!』


いつ来たのだろうか…

いつの間にかリボーンさんが居て驚く。


「アリスちゃん、マジシャンなの?」

尋ねてくる京子さん。


『え…えと…、』

私はどう答えたらいいかわからず、リボーンさんに視線を向ける。


「ああ、本当だぞ。見習いだけどな。ツナはアリスのマジックの手伝いをしてんだ」


「パートナーってそう言う意味だったんですか…ハルは勘違いしてしまいました…すみません、アリスさん!」


ハルさんは、頭を下げて謝ってきた。


『ううん、私のほうこそ、ちゃんと言わなかったのが悪いから…』


「アリスちゃん、マジシャンなんだね。今度何かマジック見せてね」


『う、うん!』


こうして誤解も解けて、ハルさんと京子さんと友達になった。





『リボーンさん!助かりました』


「ああ…、アリス…」

『…?どうしたんですか?』

「…いや、何でもない…」

(アリスに言うのは、まだ早いか…さっきのハルにかけた魔法…あの男に間違いない…)



『…?』


リボーンさんは何か言いかけたが、途中で黙ってしまった。
そして、急用ができた…と言い出掛けていった。



『…あれ?そういえば、何か大事な事を忘れているような…まぁいっか』





“…リボーン、今度は邪魔させない…アリスは何としても手に入れる…”


私はまだ知らなかった。


私の知らないところで何かが動きだそうとしていることを―――


続く…

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