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トラブル ライフ
トラブル(8)
初日からやってしまった…





それは、さかのぼること1時間前。


部屋の掃除をしていた時のことだ。


パリーン…


………………


机の上に置いてあった、ウサギの絵柄のマグカップを割ってしまったのだ。


しかも…、


「大丈夫か、綾香?あっ…」


『すみません、大丈夫です…?どうしたんですか?山本さん』



「いや、それはツナのお気に入りのやつなんだ…」



………What?


ツナさんの…お気に入り…?

「あちゃー、ツナ怒るかもな…」


や、やばい殺されるー!!



そして私の脱走が始まったのだ。


―――――

『…よし…誰もいない…』

「綾香、何をしているんですか…?」


『ぎゃわー!?…ってなんだ骸さんですか、驚かせないで下さい…!』


急に後ろから話かけてきたのは、霧の守護者こと骸さん。


『見かけによらず、意外と優しいんですよね』


「……綾香、誰と話しているんですか?」


『あっ、気にしないで下さい。ただのナレーションなんで』


「…そうですか…それで綾香は何をしているんですか?」


『…………』


忘れてた…、ツナさん見つからないように、脱走しようとしてたんだった…!


『いや…えっと…

あっ!探険してたんです!いやぁ、本当に広いですね…!あははは…』


「そうですか…。そうだ、調度良かった、綾香。ボンゴレが呼んでいましたよ」


……ボンゴレってツナさんのことだよね!?


まっ、まさかもうバレたのかあぁぁー…

――――

それは、綾香が脱走する数分前。


『………』


私は今、割ってしまった、ツナさんのお気に入りだという、ウサギの絵柄のマグカップと睨み合っていた。

『……大丈夫そうかな…?』

私の右手には秘密兵器、その名も“瞬間接着剤”が握られている。


『私って天才かも!これでばれないんじゃない…! 

……って無理過ぎ!!…まぁ…これで逃げるまで、少し時間稼げますように!』


――――――――
―――――
――…

『……はぁ、やっぱりダメだったか…』


結構…頑張ったんだけどなぁ…


「綾香どうしたんですか、さっきから…僕で良かったら聞きますよ」


明らかに様子が可笑しい綾香に骸は尋ねる。



『……じ、実は…ツナさんのお気に入りのマグカップを間違って割ってしまって…』


「…もしかして、ウサギの絵柄のですか…?」


『はい…』


「そうですか…」


骸はそれだけ言うと、深刻な顔をして、黙り込んでしまった。


(やばい…私の人生終わったかも…)



「綾香…ここはもう素直に謝ってしまったほうが…」


『でっ、でも石にされちゃいますよ!!』


………………


その一言でその場に何とも言えない空気が流れる。


「クフフフ…綾香は面白い事を言うんですね…気に入りましたよ」


『?』


「僕も協力しますよ」


『…!本当ですか!ありがとうございます、骸さん』

「…………」


あれ?固まってる…?


なぜだか、お礼を言うと、驚いた顔をして固まってしまった。


『…骸さん?どうしたんですか?』


「…!すみません、何でもないですよ」


どうしたのだろうと、少し気になったが、今はそれどころじゃないので、気にしないことにした。


『そうだ!私考えたんですけど、骸さんの幻覚で、マグカップを元のように見せるってのはどうですか?』

「無理ですよ…ボンゴレの超直感は侮れませんよ」


忘れてたぁ…!


「…ここは作戦O(オウ)でいきましょう」



『作戦O(オウ)…ですか?』

なんでO(オウ)なんだという疑問があるが…まぁこれも気にしないでおこう…


「いいですか、綾香。この作戦は至って簡単です。

まず始めにボンゴレのすぐ近くまで行き、彼の服をぎゅっと握って下さい。この時の視線は下ですよ」


『はい』

「次に謝りながら、視線をゆっくり上げ、彼の顔を見つめる。そのときの表情がポイントです」


『表情ですか…?』


「悲しそうな表情です。涙目だと効果は抜群ですよ…クフフ」


『な…なるほど…』


やり方は分かったが、本当に大丈夫なのだろうか…


「練習してみますか?ボンゴレは手ごわいですよ」


『はい!お願いします!』


えっと…まず始めにすぐ近くまで行って、服をぎゅっと握っるっと。


この時の視線は下なんだよね。

綾香は骸の指示の通りに行う。


次に謝りながら、視線をゆっくり上げ、顔を見つめるっと、悲しそうな表情でか…


『ごめんなさい、ツナさんのお気に入りのマグカップ割ってしまいました…本当に…ごめんなさい』


骸の言う通りに謝りながら、視線を上げ、見つめる。

涙目にはならなかったが、大丈夫だろうか…


「……………」


『…骸さん?大丈夫ですか?』


「っ…!ええ、バッチリですよ、綾香」


『本当ですか…!良かった!』


しばらく何も言わずに固まる骸だったが、綾香の声で気がついたようだ。

『ありがとうございました、骸さん!じゃあ行ってきます』


「…え、ええ、頑張って下さい。ボンゴレの部屋はここを真っすぐ行ったところの正面ですよ」


『はい』



骸さんにお礼を言い、ツナさんの部屋に向かった。


打倒ツナさん!(違う;)



―――――――

綾香が去った後の骸はと言うと、…


「………」


「骸さま…任務…」


「…!ええ、行きましょうか、クローム」


(…まずいですね、本気で好きになりそうです)


続く…!




〔補足?〕
作戦O(オウ)はお色気の略です…;

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