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極上ロイヤルティー
02

「あら? ご存知ないかしら? それでは招待状をお見せします。ナイト」


 女が名前を呼ぶと従者の男が紙を懐から出し、兵士へと手渡した。それは招待状ではない白紙のものだった。


「それが先日届いた招待状です。陛下が送ったものに間違いないでしょう?」


 紙を受け取ってそれを見ながら、兵士は頷いた。その紙を見ていると不思議な気持ちになってくるのだ。


 ――そういえばそうだったような気がする。これだって陛下直々に出した特別な招待状だったはずだ。そもそもこの女性は国の重役だったじゃないか。


「何か問題でもあったのかね?」


 馬車から一人正装をした男性が現れた。見たことがないほどの美形であった。女性よりも頭1つ分は背が高く、労るように女性に寄り添う姿はまさに紳士だ。仮面で見えないが素顔もさぞや美しいことを安易に想像させた。まるで人間ではないような――。兵士はハッと息を飲むが、すぐに返事をする。


「いえ、はい、あの、確かにこちらからお送り致した招待状です。数々のご無礼大変失礼致しました。旦那様、奥様、ホールまでご案内致します」


 2人の兵士は深々と頭を下げた。


「お気遣いありがとうございます。案内は結構です。ホールまでの行き方は存じております。従者を2人連れても構いませんね?」


「はい、勿論で御座います。馬車はこちらでお預かり致します」


 やはり異様に威圧感を感じて兵士はまた深く頭を下げた。


 女が呼ぶと支度を終えたのか馬車からもう一人金髪の男が現れた。笑顔を浮かべているが、兵士をちらりと見やるそれも恐ろしいほど冷たくて2人は後退りをしたい気持ちになった。


 兵士の一人は馬の手綱をもう一人は車を預かり、城への道を開門した。


 2人の従者を引き連れてホールへ向かう姿を見届けると、兵士達は何だか呆けた気持ちになった。


「あの奥方、ただ者ではない威圧感だったな。多分あのご夫婦が特別な魔力をお持ちなんだろう」


「ああ、あのお二人の魔力が大きすぎて、従者の魔力が全く感じられなかったよ」


「いや、でもあのご夫婦と一緒にいて平然としているのだから、従者もさぞやすごい魔力の持ち主なのだろう。俺なんて魔力に充てられて頭痛が止まらないよ」



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あきゅろす。
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