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極上ロイヤルティー
03..end


 雨が降る音が聞こえる。窓の外を見ると寝床を探す浮浪者達が穴だらけの汚い傘を咲かせていた。中には傘さえない者もいる。


「雨か……。俺は結構好きだけどな」


 ルークが出ていった扉を見つめながらキングはぼんやりと呟いた。この殺し屋の組織ブロンコッドを立ち上げたその日も゙彼奴゙を拾ってきたあの日も雨粒が降り頻る湿った夜のことだ。


 雨の日には何かと良いことがあるのだ。逆に晴れた日の思い出は嫌なことだらけだ。


 母親が目の前で魔術師の男にいとも簡単に殺された幼かったあの時。あの日は確か照り返しのきつい夏の午後だった。



 魔術の使えない母親と自分はその男よりも遥かに下級。抵抗は許されなかった。男は絶望に打ちのめされたキングの表情に笑みを浮かべ、遊び半分にキングの母親を手にかけたのだ。幼かったキングは為す術もなく崩れていく身体を見つめることしかできなかった。


 魔術が使えない者が魔術師に殺されることは日常茶飯事だった。王国の法では魔術を使えない者はゴミ同然に扱われている。魔術が全てであるこの国で魔術が使えないなど汚点でしかないのだ。


 このスラム街で生き残るためには暇潰しにやってきた魔術師から逃げ、仲間内の争いに巻き込まれないようにするしかない。


 母親を目の前で殺されたキングは生き残るため、魔術師から逃げ延びるためにブロンコッドを設立したのだ。



 雨は止みそうもなかった。キングはぼんやりと昔のことを思い出していた。母を殺した男の満足そうな笑み。狂喜が滲み出ていた。今でも目を瞑ればあの笑みが浮かんでくる。それなのに――。


 雨が窓を打つ音がキングの怒りを消沈させる。今日は雨だ。何か良いことがあるかもしれない。


 キングは無理矢理にそう考えて窓から離れた。今日は仕事が山積みなのだ。


 情報収集に向かっているポーン達がもう帰ってきている頃だ。報告を聞かなければならない。


 山積みの仕事が待っている階下に向かいながらキングは思う。


 ――まったく"彼奴"は何処をほっつき歩いているんだ。早く帰ってこなければ"ナイト"と言う名前をメンバーから削除してしまおうか。



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あきゅろす。
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