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憐愛
愛憐3


双子―それも一卵性だからなのか、姉が好きになるものは自分も大抵好きになった。違うのは、姉は甘党で色は暖色系好き。僕は辛党で寒色系好きという事位だった気がする。
…いや、性格はまるで違っていた。
人好きのするはっきりとした性格と姉と比べられ、可愛げ無い生意気な弟とそんな感じだろう。

感覚を共有してしまうせいもあるのか、姉がどう思ったか、感じているのかまで伝わって来る時がある。

―待っていてくれませんか?
言われた時姉は心で泣きながら笑顔でうなずいていた。僕には姉の悲痛な心情がわかっていたけど、なぜそこまでそう感じているのかわからなかった。
―今思うと何か感じる事があったのかもしれないと思うし、もう帰って来ないのも分かっていたんじゃないかなんて事も思う。

姉は二年間は待っていた。心が憔悴しきっていたのが痛いほど伝わってくる嫌な日々だった。
その一年後、辛い時ずっとそばに居てくれた伊月さんとも共通の友達と結婚すると言い出し、結婚した。
伊月さんへの裏切りではと思ったが、荒んで不安定だった姉の心がやっと穏やかになったため祝福することにした。
―姉ちゃんには幸せでいてほしいんだ。
(絶対伊月さんは姉ちゃんが幸せな方がいいに決まっている)
…戻って来たとき、姉ちゃんの代わりに僕が傍にいられるかもしれない……
自分が醜くて嫌になる。


――姉は家を出たから、伊月さんの訃報はまだ僕しか知らない。
姉は子供もできた様だし、[幸せ]に暮らしているから、ショックな話はしなくていよね?

―ねぇ伊月さん、僕はずっと待ってました。姉と違って。
僕が代わりに伊月さんの隣にずっといるからさ!!僕はあなたを選ぶから!!
…でも伊月さん絶対天国だよね、自分で命を断ってもきっと逢えないよね。

薄暗くなってからふらふらと街をさ迷っていた
公園を通りかかったとき、一匹の猫が道路に飛び出した
すると一人の少女がその猫を追いかけて道路に飛び出した
赤に変わってしまった信号機、スピードを出していそうなトラックの音、光
目の前の光景に僕は歓喜する。
直ぐさま少女の元へ駆けつける。

キキィ――――――――――ドンッッッッッッッッ!!!
ガッ…ドサッ………

「キャアァァァァァァァァ―――――!!?」

嗚呼煩いブレーキ音と少女の叫び声が遠ざかる。
スッゴク痛かったのに、もう感覚ないや………

もうすぐ逢える?

………伊月さん、…伊月…さん…僕、が……今い…きますから…待っててくれませんか?




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