アリスと歪んだ国 Largo 「亜梨子〜!!」 「ふぃ?」 クラスから昇降口までの廊下で、私は呼び止められた。 後ろから走ってくるのは、友達の明日梨。 名前の響きが似ているおかげで、会ったその日に仲良くなった。 「よかったぁ、追い付いて。歩くの速いんだもん亜梨子。」 明日梨は軽く肩で息をしている。 茶色っぽい長いウェーブのかかった髪。 着ているのが高校の制服じゃなければ、お人形さんみたいな小柄で可愛い女の子。 一方私は女子にしては高い身長、真っ黒な髪を1つにまとめているだけ、というスタイル。 見た目も性格も反対で、人に言わせりゃ 「お姫様と王子」 らしい。 できることなら名前も逆にしてほしかった。 この見た目で「亜梨子」ってどこのお笑い芸人ですか!? 「亜梨子?」 私が頭の中で葛藤していると、明日梨が呼び掛けてきた。 どうやらかたまっていたらしい。 「帰ろ?」 かぁいらしく首を傾げられ 「うん。」 と頷く。 家はさほど近くないが、よく一緒に帰るのだ。 [次へ#] |