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本の間に
これからも 

「ギル〜、遊ぼぉ!!」



「お前なぁ……。」

オズのマイペースさに俺は呆れる。


「せめてこの仕事が終るまでは駄目だ。」


そう、今はパンドラの仕事中。
今は夜だから自宅待機だが、明日は朝から現場だ。

「えぇ〜、遊ぼぅよぉ。」

いつもなら引き下がるオズが、今日は何故かダダをこねる。


―――調子でも悪いのか……?

オズは自分が辛いときほど、ふざけて元気に見せようとする。


「ギル?」

額に手を当ててみるが、熱はないようだ。


「ちょっと、ギルってば。なにしてんの?」

オズが不思議そうな顔をするが、構わず色々試してみる。



「……特に異常はないな。」

「何だよぉ、人の体散々触っておいてその感想。」


茶化す様な口調だが、思わず

「お、俺はお前が体調崩したんじゃないかと思って!!」

と焦って返してしまう。


「何でオレが具合悪いと思ったわけ?」

オズはキョトンとして聞いた。


「お前が珍しくダダこねるから……その…。」

「あぁ、なんだ。それで心配しちゃったのか……。ごめんな、深い意味なんてないんだ。」


なんといったらいいものかと、言葉を探していたらオズが俺の頭に手をのせた。


「ただ、ちょっと…………った、みたいな。」

「え?」

オズの声は小さくて、途中を聞き取ることができなかった。

「いや、何でもないよ。」
「よくない!!」



慌ててつくったように笑ったオズに、俺は思わず怒鳴ってしまう。

何でいつも、肝心なお前の気持を教えてくれないんだ。


「俺はお前の従者なんだぞ?少しは頼りにしてくれよ……。」

何故か涙が溢れてきて、台詞の最後はちゃんと言うことができなかった。


オズが頼れないほどなのだと思うと、自分が情けなくて。

「……あのな、かまって欲しかった……って言ったら引く?」

「??」


正直オズが何を言いたいのか、見当もつかなかった。


「オレな、お前にかまって欲しかったの。…ギルだけ大人になっちゃってさ、色々やってて……オレから離れていっちゃったら、とか不安で、さ。」


「…………。」

「ごめん、ギルを疑ってるわけじゃないんだ。なんていうか…その……自分がおいていかれちゃうんじゃないかって……ああもう!!何言ってんのかわかんなくなってきた!!」

「…ははっ、あはははははは!!!」

「ぎ、ギル?何笑ってんのさ!!」


「いや、悪い。やっとわかったんだ。」


「…?何が??」

「オズも子供なんだなあって。」


「っっ!!」

「よかった……。」



「……何か不満。」

オズが口を尖らせる。


「悪い悪い。でも、本当よかった。」

「何がだよぉ。」




オズがオズであって。
俺が俺で。

まだ一緒にいられることが……すごく嬉しいんだ。

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あきゅろす。
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