本の間に 2人ぼっち 夜は嫌い。 いろんなことを思い出してしまうから。 「オズ?」 オレが抱きつくと、慌てることもなくギルが問う。 慣れ、とはよく言ったもので……。 「具合でも悪いのか?」 案じるような声に顔を上げれば、ギルはほっとしたような顔をした。 「大丈夫なのか?」 この問いには、うなずいてから首を横に振る。 「……どっちだよ。」 これにはギルも少し呆れる。 「具合は悪くない。でも、ギルがいなくなるのは嫌だ。」 「…………。」 「今日だけでもいいから、寝るまででもいいから、そばに……いて。」 しばらく部屋に沈黙が走った。 ヤバいと思い、慌てて笑顔をつくる。 「嘘だよ。オレちっちゃい子じゃないんだから。…ギル、聞いてる?ねぇってば、…………!!」 茶化そうとしたら、ギルに抱きつかれた。 びっくりして固まっていると、耳元でギルの声がした。 「どっちが嘘なんだ?」 「……。」 ギルはいらないところで鋭い。 オレはそっと手をギルの背中にまわす。 「どっちも嘘。」 寝てからも、今日以外でも一緒にいてほしい。 夜は好き。 いつもギルが隣にいるから。 [*前へ][次へ#] |