夢
狼男にご用心!! †裏
幼なじみって、いつも一緒にいるから気付けないことが一杯あるよね。
…『好き』っていう感情さえも。
「なぁ、名前って付き合ってる人いるばー?」
あまりにも唐突な質問をしてきたのは同じクラスでテニス部の甲斐裕次郎。
『ぶっ!いきなり何?』
「気になったから聞いてみたさぁ」
『いる訳ないじゃん!いたらいいなぁとは思うけど』
そう言って名前は平古場を見る。
『(凜はどうなのかな。モテ男君だから女子にたくさん告白されてるんだろぅな。付き合ったって噂は聞かないから彼女はいないよね?そもそも凜は彼女とか欲しいのかな?)』
そんなことを思っていると甲斐がニヤニヤしながら口を開く。
「…ははーん」
『何?』
「やー、凜の事好きなんだろ?」
『な!?…何で分かったの?エスパーですか?』
「そんなに熱い視線であにひゃー〔あいつ〕の見てりゃエスパーじゃなくたって分かるさぁ。いひひっ、名前の弱みめーっけ♪」
嬉しそうに言う甲斐に対し、名前は冷ややかに言い放つ。
『言っとくけど、バラしたらアンタ沖縄の海に沈めるよ?コンクリートで綺麗に固めて』
「やー、ちゅらさんな顔〔可愛い顔〕して言ってること怖いのな」
心なしか甲斐の顔は青ざめて見える。
『アンタに可愛いって思われなくてもいいもんねー!』
「本当ちゅらさんじゃないんどー」
きゃあきゃあ話す二人は、平古場が横目で見ていたことにも気が付いていない。
部活中。
「裕次郎」
不機嫌そぅな顔をして平古場が甲斐に話し掛ける。
「さっきクラスで名前と何話してたばー?」
「さっき…?あー、悪い。凜に言ったらわん、名前に殺されるんど」
「ぬーが?〔何で?〕」
「やーで直接聞いてみろよ?」
「…分かったさぁ」
部活も終わり、平古場と名前は家が隣のため一緒に帰っている。
他愛のない会話をしていたが平古場が教室での会話を聞くために口を開く。
「やー、今日教室で裕次郎と何話してたんばー?」
『え?いや、別に…』
平古場が好きなことを話してました。
そんなこと口が裂けても言える訳がない。
なので名前は言葉を濁す。
「わんにも言えないことか?」
『あー、うん。まぁ…ね』
「そうか。ならいいやー」
そう言う平古場の表情は少し悲しげだ。
『えっと、じゃあね』
家に着き、お互い玄関に入る。
と、平古場が思い出したように口を開く。
「あ、わん、数学の授業寝てて聞いてなかったから名前後で教えに来てな」
『えー、自分で来ればいいじゃん』
「面倒臭いやー」
『しょうがないなぁ…じゃあ後でね』
「おぅ」
『凜ー?来たよー』
ガラッと窓を開け、名前が平古場の部屋へと入って来る。
「待ってたさー。ってやー風呂上がりか?」
『あ、うん。早めに入ってきちゃった』
そういう名前の格好はキャミソールに短半。
少しほてった肌と半乾きの髪という姿は、妙に色っぽい。
「(名前、色っぽいやっしー)」
平古場がそんなことを考えていると、名前は数学の教科書とノートを開き説明を始める。
「っあー、さっぱり分からないさぁ…」
『だから説明してるでしょ?やる気出してよぉ』
困ったように笑う名前。
平古場はというとシャーペンを置き、頬杖をついている。
「勉強なんてこの世から無くなればいいさぁ」
そう言いチラリと名前を見る。
そして目に入った名前の谷間。
「(やっけー、ムラムラしてきたあんにー)」
平古場は顔を赤らめる。
『りーんー?ほら次の問題解いて?』
「(上目使いとかやばいやし///)…もう無理さぁー」
平常を装いながら平古場がそういうと名前はゴロンと横になり、軽く目を閉じる。
『もー、教えに来た意味ないじゃん。凜やる気ある訳ぇ?』
「…ヤる気なら満々さぁ」
『じゃあ真面目に勉強しようよー』
横になったまま平古場を見上げる。
「そっちのやる気じゃないんどー?わんが言ってるのはヤる気さぁ。ってゆーかやーはもうちょっと危機感持った方がいいぜぇ?」
そう言い気が付けば名前は平古場に組み敷かれていた。
『ぇっ!?ちょ、凜??』
いきなりのことに名前はどうすればいいか分からず固まっている。
「わんだって男さぁ…好きな子が無防備にしてたら襲いたくなるだろう?」
『好きな子…誰が?』
「やーに決まっとぉさぁ」
『ゆくし〔嘘ぉ〕!?』
「ゆくし〔嘘〕じゃないんどー?」
『で、でも――』
「やー、鈍過ぎ。大体男はみんな狼なんだからそんな襲ってくれって言わんばかりの格好して男の部屋に入ったらいけないんどー?」
平古場は悪戯っぽく笑い名前に口付ける。
キレイな金髪が名前の頬にかかる。
『りっ…ん』
平古場は一度唇を離し、自分の口の端をペロっと舐める。
「狼だから名前を喰ってやるさぁ!がおーー」
そう言い今度は深く口付ける。
『んっ、ゃ』
名前の唇を割って舌を侵入させる。
そして歯列をなぞり舌を絡ませる。
長い間口付けを交わし、平古場の手が名前の胸の突起をいじり始める。
『ふっ、ん!』
名前の声が一段と大きくなる。
「感度いいやっしー」
そう言いもう片方の手を脚の付け根へと滑らせる。
『ゃだっ、誰か来ちゃう、よっ』
名前は必死に頼むが、平古場は妖しく笑って言う。
「わんの家族、さっき出掛けた」
『は、ぃ?』
「あんすぐとぅー〔だから〕いくら大きい声出しても平気ってことだばぁ」
そしてにっこり笑って続ける。
「くわっちーさびら〔いただきます〕」
情事が終わり、平古場は愛おしそうに寝ている名前の頭を撫でる。
「くわっちーさびたん〔ごちそうさま〕」
起こさないよう、小さく呟く。
『ん…りん?』
「うきみそーち〔おはよう〕、名前」
『…うきみそーち(///)』
顔を赤くしながら名前も返事を返す。
「身体大丈夫か?」
『…多分…ね。腰痛いけど(///)』
「そぉいえばよー」
平古場が思い出したように口を開く。
「朝クラスで裕次郎と何話してたばー?」
『えっ!?』
「わんにも言えないって言ってたけど、答えないつもりならお仕置きするんどー?」
素早く唇を奪われ、観念したのか名前は口を開く。
『…裕次郎に凜が好きだってことバレちゃってね?』
「っなま〔今〕何て言ったばー!?」
慌てて聞き返す平古場。
『凜が好き――』
言い終わる前にぎゅうっと抱きしめられる。
「じゅんにか!?〔本当か!?〕」
『じゅんに』
「良かったさぁ。わん、名前の気持ちも確かめないまま襲っちまったからもし名前がわんのこと嫌いだったらどーしよーと思ったさぁ」
ふぅっと息を吐きながら平古場が言う。
『あのね、凜』
「ぬーが?〔なんだ?〕」
『…大好き』
「わんも!!でーじ〔すっげー〕大好きさぁ!!」
どちらともなく唇を合わせる。
すると、困ったように平古場が口を開く。
「やっけぇー〔やっべぇー〕」
『どーしたの?』
「またムラムラしてきたあんにー」
『しんけん!?〔マジ!?〕』
「っつー訳やっしー、二回戦突入な?」
『えぇぇ!?』
…狼男にご用心!!
END
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