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アリスインワンダーランド


パン屋さんからの帰り道も、
チェシャ猫は静かだった。



…その晩、
アリスは夢を見た。

白ウサギの出てくる夢を…


闇の中、

うすぼんやりと
浮かび上がる
兎の首。


「大変、大変。
 今すぐ行かなくちゃ…」


「あれえ?アリスだ…」

「アリスだ」

「アリス…」


「可哀相なアリス」

「嘘つきの猫に
 だまされて…」


嘘つきの……猫?

まさか、チェシャ…



「アリス、おいで」

「おいで」


「おいで…」


見えない力で
無理矢理カラダが
引っ張られていく。


「ほら、アリス」



「つ か ま え た」

「っいやあああ……!」


アリスはびくりと痙攣して、
恐る恐る目を開けた。

「っ…は、あ…っ」

心臓がドキドキいっている。


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