アリスインワンダーランド
8
パン屋さんからの帰り道も、
チェシャ猫は静かだった。
…その晩、
アリスは夢を見た。
白ウサギの出てくる夢を…
闇の中、
うすぼんやりと
浮かび上がる
兎の首。
「大変、大変。
今すぐ行かなくちゃ…」
「あれえ?アリスだ…」
「アリスだ」
「アリス…」
「可哀相なアリス」
「嘘つきの猫に
だまされて…」
嘘つきの……猫?
まさか、チェシャ…
「アリス、おいで」
「おいで」
「おいで…」
見えない力で
無理矢理カラダが
引っ張られていく。
「ほら、アリス」
「つ か ま え た」
「っいやあああ……!」
アリスはびくりと痙攣して、
恐る恐る目を開けた。
「っ…は、あ…っ」
心臓がドキドキいっている。
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