アリスインワンダーランド 9 「んっ…」 チェシャ猫は人差し指を一本立て、 くちびるの前に持って行った。 『静かに…』 そして、 アリスの口を片手でふさぎ 抱きしめるようにすると、 静かに階段に座った。 「……っ…」 心臓がバクバク言う。 チェシャ猫の方を仰いで 『体は…?』と聞こうとする。 チェシャ猫は、 見たことのないような 険しい顔で、首を振った。 絶対に、しゃべってはいけない…。 アリスは恐ろしくなり、 玄関の方に視線を戻した。 コン、コン… 再びノックの音。 いつしか太陽の光は消えさり、 闇が兎の姿を夜にかくしていた。 「アーリス♪」 夢で聞いたのと、 おんなじ声…! アリスは体を強張らせた。 [*back][next#] [戻る] |