銀木犀
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「真っ暗…」
手探りで違うボタンを
押そうとする楼犀の
手首を、誰かが優しく掴んだ。
「それじゃない。
楼犀ちゃん」
銀紫さんだ。
「行き先は?」
「……ハチ公の、
うしろ…」
銀紫は楼犀の細い手首を掴んだまま、
少し前屈みになって操作する。
上を見上げた楼犀の目には、
銀紫の襟ぐりからのぞく
た色っぽい鎖骨が見えてしまった。
(うわ…!)
楼犀は赤面する。
「ぁ、あの、
真琴ちゃんが
待ってるので…!」
楼犀は銀紫の手を
振りほどいて、逃げ出した。
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