同品を示す
ただし、他方はそうではない。
ディルは少女の大きく開いた背中から、服の中に手を差し込んだ。こちらも、下着は着けていない。
温かく、柔らかく、張りのある少し未熟な造形の胸部に触れる。吸い付くような感触と、瑞々しい弾力。
「そこ、触られてな……っ」
「念の為だ」
ソファに腰を下ろし、彼女を引き寄せる。膝に乗せられたルーシィは、緑の目で訝しげにディルを睨んだ。
そして彼は薄く笑い、彼女の胸の小さな突端に指で触れる。
「きゃぁッ!」
悲鳴をあげ、逃れようと身体をよじらせる。
それを片腕で押さえ込み、更に摘んだり転がしたりしてやると、彼女の抵抗は面白いように薄らいでいく。
そう、知識は皆無だが、感覚はむしろ鋭敏だ。
再び呼吸が荒くなり、ほんのりと全身に赤みがさし、身体からは力が抜けてディルにしなだれかかる。なのに、その先端部分だけは、彼の指で研ぎ澄まされて徐々に硬度を増していく。
「あ……あぁ、ん……ッ」
「本当に可愛いな、お前は」
皮肉ではない。本心だ。
一体誰が、今のルーシィを人形だと思うだろう?
腕の付け根の切れ目を見ても、ディルにはいささか信じがたい。
上半身を肌蹴させると、汗ばんだ彼女の裸体が照明に美しく輝く。
うなじから下へ下へ、彼は塩気を味わいながら、少女の汗を舐めとってやる。
「んゃ、っ……んッ」
その赤い舌が、薔薇色の蕾のような突端に再び辿り着く。
瞼とまつげを痙攣させ、開いた唇と火照った顔で、たくさんの疑問符を持て余した彼女は、何も分からぬままに両脚を摺り合わせた。
「なに、ッこれ……」
「何がだ?」
「だめ……おかしい、っ」
性的な快感のことを言っているのは明瞭だったが、ディルは素知らぬ顔で胸の膨らみや鳩尾の窪みに唇を寄せ続ける。
「気にするな。今確認してやる」
ようやく下半身に触れる頃、彼女はひくひくと卑猥に全身を引きつらせ、熱っぽい瞳で不安げにディルを見上げた。二の腕まである薄手のグローブを着けた手で、彼の上着を握りしめる。
少女の体液が、空気や吸血鬼の指先と混じり合い、官能的な音を立てた。
「見ろ。これがお前の言う、ぬるぬるしたものか?」
爪が長く、節ばった男の指先に、光る透明な粘液が絡みついている。水飴のように粘つく、それ。
ルーシィは一度、小さく頷いた。
「や、ぱり……付けられてたのね」
「んな訳あるか。これはお前の身体から出たもんだ」
「え?」
まるで無学な人形は言葉を失い、その目を大きく見開いた。
予想していたとはいえ、その愚かさにディルはため息を吐く。
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