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戸籍課
3.


「俺と結婚してくれますか?」

「心療内科は出口を左に4つ信号を超えた向こうになりますが?」


区役所内が水を打った様に静まり返った瞬間だった。









「っくくくく、あはっ、伊東、そりゃナイだろっ?」

「木々間さん!」

「伊東、おまっ、本当やばっ」

通りを歩けば誰もが振り返るほどの色男からの唐突なプロポーズをサラリと流し尚且つ、
思わず身震いしたくなるような冷気を放つ伊東に、皆、口を噤んだ、否、噤むざるを得なかった役所内に響く笑い声、
その沈黙を打破したのは腹を抱えて年金課の窓口から歩いてくる木々間 夜、28歳、伊東の友人である。

「なんでそんなに笑われなければならないのかが分かりかねます、第一私は男です、
この人はきっと心療内科の先生の診断が必要に違いない!」

眉間の皺を濃くし伊東は冷やかに言い放った。

「なんともまぁ、伊東らしい言い分だな」
未だひく付く腹を擦りながら木々間のニヤニヤとした笑みを見て伊東は小さくため息を吐いた。

マニュアル通りにならない事は嫌いだ、ついでに言えば、今目の前に居る男の様な奴はもっと嫌いだ!!

「い、伊東さんと言われるのですか?」

伊東の心情なんて知る由もない九十九は目を輝かせ、今にもカウンターを乗り越えそうな勢いで伊東に尋ねた。




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あきゅろす。
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