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こねことおおかみ/完結


・・・

「・・・いや、こいつじゃない。もっと大きかった」

二人の様子を気にすることのない都は呑気に毛繕いをしている。
その自由気ままな姿は、どことなく少年に似ているような気がした。


「いやいや、猫って大体こんくらいのサイズでしょー」

側に生えていた草をちぎり、亮平はちろちろと都の前で揺らす。
尻尾を揺らして立ち上がる様子に「お、くるか」と構えた亮平の右手は、

ペシンと尻尾で叩かれて終わった。




「いや、猫じゃねぇ。 人間だ」

「はぁ?猫っつったの柚でしょ」

つかみきれない言葉を紡ぐ宗昭に、
いよいよ友人が心配になった亮平だった。






▽▽▽▽▽▽



「てかさー、なんでこいつお前にそんな懐いてんの?」


「にゃぁ〜」

彼らがいた林から学校は、歩き方さえ知っていればほど近い距離だった。
長い足で歩く長身二人の足元、正確に言えば宗昭の足元には、あれからずっと都がくっついて離れない。

「知らねぇ。けど首輪してるから多分あいつの猫なんじゃねえの」

「あいつって、さっき言ってたねこ人間?」

「ねこ人間ってお前…まぁ、抱き込んでたから多分な」

少年に猫耳が生えた姿を一瞬想像して、妙に納得してしまった宗昭である。


「あそ。 まぁそれはいいとして寮監がお前を探してたぞ。柚んとこの部屋に転入生が入るんだと。今度は虐めんなだってさー」

「……虐めたことなんてねぇよ」


分かっていてにやりと笑う亮平に宗昭は内心ため息を吐く。

確かに自分が多少やんちゃしている自覚はある。
難癖をつけてくる不良を仕方なく相手にしていたら、気づけば自分も不良と言われるようになっていたのである。
一般人に自ら手を出すようなことはしたことがないのだが
教師には目をつけられ、周りには恐れられ、道場で自分を鍛えた父親には呆れられてしまっている。

そうしているうちに、寄ってくるのはカリスマ性に引かれただの言う輩か、見た目に惹かれて彼にアピールしてくる奴らくらいになってしまった。それも男女問わずというところがややこしい


前の同室者もそのうちの一人だったのか、共有スペースのソファーで眠っていた宗昭の上にまたがり、キスをしようとしてきたのだ。
間一髪、野生の感で眼を覚ました宗昭のとっさに出た拳が運がいいのか悪いのか彼の顔に直撃し、前の同室者は別部屋へ移動になったのだった。



「それだけ伝えに柚探したオレって優しいよなぁ〜。え?お礼は学食おごりでいいよー…
 …て柚聞いてる?教室はそっちじゃなくねー?」


「そっちでもねぇよ」


サボろうと暗に誘う亮平を放って
まとわりつく都をそのままに宗昭は寮へと足を向けた。




<*わんにゃん#>

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あきゅろす。
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