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こねことおおかみ/完結
馨と亮平
▽▽▽▽▽


「痛いっ・・・」


バタンとドアが閉まるのも待たずに馨は部屋の奥へと引き込まれる


掴まれたままの腕の痛みを訴えるがそれが聞き入れられることもなく、
気づけばそのままソファに引き倒されていた。



仰向けに転がされ、投げ出された両腕をつかまれ押さえ込まれる。
上に跨った亮平の目が本気なのはさっきから分かっていた。




「痛いって・・・」

「・・・俺以外の奴に泣かされやがって」

「亮平・・・?」


聞こえてきた声は馨が予想した怒りに震えるもの

ではなく、


それよりも


もっと____



「お前はっ・・・誰にでも懐いてるんじゃねぇよ!」

「なっ・・・」







何を言ってるんだこいつは!


「人を動物みたいに言うな!別に懐いてなんかいねぇ!」

下から思いっきり睨み上げるが、そんなのが効かないことも分かっている。
案の定、優位な体制の亮平は薄く笑みを浮かべながら顔を近づけて来る。


「へぇ?懐いてもない奴の腕に抱かれて、馨は泣いちゃうんだ?」


あ、やっぱり怒ってる



「・・・だから違うっつってんだろ!ばかじゃねぇの!」



そんなんじゃねぇんだ






「あれはただ・・・・」


「ただ、何」


言えない



言えない





「ただ・・・・」





「っ・・・だからなぁおい馨。何だって聞いてるだろうが!!


 言えよ!おまえそうやって
  

  



 泣くくらいのことがあってなんで俺に言わねぇんだよ!」

「っ・・・・」


やめろ







「なぁ!馨!」



せっかく






「馨・・・・」








我慢してたのに








「・・・・・・・なんだよ・・・・」






「・・・・かおる?」

「っ・・・・不安なんだよ!!」


「・・・・・・」





あぁ




もう台無しじゃんか








「お、おれ・・・・





 子供の頃から・・・・海外に絵の勉強しに行くのが・・




 


 夢、だった・・・・」



「・・・・・・・」


亮平が息をのむのが分かる




「・・・っ留学して、っもっともっと絵の勉強しようって・・・






 でも、お前がこの前・・・一緒の大学に行く話、してくれて




 その顔見てたら





 い、言えなくて・・・っ




 お前と、一緒にいられるし

 もう留学やめようって思って

 こっちでも勉強できるしって・・・











 でもっ・・・やっぱり夢だからっ・・・


 あ、諦めきれないし!

 
 でもお前にっ


 あ、会えなくなるのはいやだって思うし!


 亮平かっこいいから!

 大学でも、モテるからっ
 
 

 遠く離れて
 俺がいなくて
 
 そのうち俺のことも忘れるってっ・・・・




 いつか俺に飽きてそれで!っ・・・・・・んぅっ・・・・」









締め付けられる体

「んっ・・ぁ・・・」

塞がれる口
















なんだよお前












怒ってたんじゃないのかよ






















唇に降る感触が優し過ぎて



馨はまた泣いた

<*わんにゃん#>

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あきゅろす。
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