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こねことおおかみ/完結
凛と宗昭
▽▽▽▽▽


迎えに来てくれた宗昭と一緒に寮へ戻った凛は

自分の胸につっかえていた真っ黒いものがどんどん晴れていくように感じていた。



相談したことで気持ちが軽くなったのか、
伝える決意をしたことで今までの漠然とした悩みが減ったからなのか



遠く感じていた宗昭の体温も

ちゃんと浸透して安心する





あったかい




やっぱり傍にいたいよ




ソファに深く身を沈める宗昭の膝によじ登り、
背中を預けて身を寄せる。

投げ出された大きな腕をひとつずつ掴み、自分の腹の前に回すように持って来る


「むーくん?」



いつもぎゅっと優しく包み込んでくれるはずだが

回した腕はだらんと凛のお腹に乗っているだけである




自分よりずいぶんと逞しい腕に触れながら

後ろ仰ぎ見ると



綺麗な顔は笑っていない


凛を見てすらいなかった







「むーくんどうかし「そんなに頼りねぇ?」た・・・え?」


不安になり、もう一度呼びかけたそれは届いていないかのように
宗昭が静かに言葉を零す



その声に聞き返す凛

「何?むーくん・・・?」




「お前が・・・・ここ最近いつもと違うのは分かってた。何か不安で、それと戦おうとしてるのも。お前は俺に甘えるから、今はそれでいいと思ってた。



 そのうち言ってくれるんだと、思ってた」


「ぁ・・・・」



「でもお前は岩倉に相談してた。

 ・・・・俺じゃそんなに役にたてねぇのかよ」


「ぁ・・・・ちがっ・・・・・」





そんなんじゃない



そうじゃなくて





凛の喉はなにかがつまったように言葉を発してくれない



「・・・・・お前を笑顔にするのは俺にしかできないと思ってた。いや、俺がそうしてやりたかったんだ




 けど








  俺じゃなくてもよかったんだな・・・」



「む、・・・・くん!違ぅ・・・ちがっ」



身体が浮いたと思えば、優しくソファに下ろされていた。



立ち上がる宗昭




「あ・・・・むーくん」





大好きな姿がどんどんぼやけてくる


いやだ


背中なんか


向けないで














とっさに差し出した手は





やんわりと払われた






<*わんにゃん#>

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