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こねことおおかみ/完結
父登場
「凛ーーーーっ!!会いたかったぞ!!」

ソファに丸まって都の腹に指をうずめていた凛は、突然自分の体が浮いたことに驚く。

ぐるっとひっくり返されて小さい子供の高い高ーい状態にされて初めて、自分の状況を理解した。

「・・・・・おかえり、父さん」




そう。

物凄い勢いでリビングに突入し、間髪いれずに凛を見つけ抱き上げスキンシップをかます男。



凛の父、帰宅である。


「父さんおろしてー」
「ばか言え。今抱き上げたばかりだぞ」

今度は子供を抱きかかえるように持ち帰られ、一向に下ろしてくれる気配はない。
少し色黒の精悍な顔は今やデロデロで見る影もない。

「父さん、お仕事だったの?」
「ん?あぁ、ちょっと顔を出してきただけだ。それよりも凛、父さんじゃなくていつもみたいにパパと呼べ」
「でも僕パパって呼んだことないけど」


父の暑苦しい程の愛情に、若干冷静な凛である。

「下ろしてくれないの?」
「そうだな。『パパ大好き』って言ったらな」

「・・・・・パパ大好き」
「っ・・・・!!凛ーーっ!可愛いなーお前は!」
「やー!」


下ろしてくれるって言ったのにっ!と、頬ずりされていやいや顔の凛をなかなか離さない父。



「・・・・・おじゃましてます」


男が凛の成長の確認と、久々の再会を味わっていたところに割り込んだ声

その声にピタリと動きを止める男。
凛はその隙に父の拘束からすり抜ける。





ゆらりとこちらを向いてきた時には、男の顔には凛に向けた笑顔はどこにもなく、ただしっかりと宗昭を見据えていた。


<*わんにゃん#>

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