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こねことおおかみ/完結
凛の母
電車から降りた二人は、乗るまでと同様に手を繋いで歩いていた。

「もうすぐ着くな」

「うん!」


駅から歩いて10分。


だいぶ家に近づいてきて見覚えのある風景になったからか、凛の足取りも浮かれ気味で、今度は嬉しさで宗昭と繋いだ手をぶんぶんと振っている。
宗昭宛で同封された凛ママ直筆の家までの地図はそろそろその役目を終えそうだ。


宗昭の肩にはやや小さめの凛のバッグと宗昭のバッグが二つかけられ、凛は都入りのバッグを肩から斜めに下げているだけである。


風がなくとも外を歩くには冷えるが、宗昭も凛も寒さを感じないほどその時間を楽しんでいた。






「むーくんっ!着いたよ。ここがおうちですー」


現れた家は洋風の少し大きめな一戸建てであった。
なるほど。凛の母親の手紙の様に、ふんわりとした少しファンシーな雰囲気の家であった。

不在中も管理を頼んでいたのか、庭は冬であっても綺麗に整い、花も咲いている。

凛の育った家を見られて若干の感動に浸る宗昭だが、凛は待ちきれないというように、宗昭の手をぐいぐい両手で引きながら門から玄関へと進む。


チリンチリンという可愛いベルの音は、凛の押したインターフォンから聞こえたみたいだ。

ドア越しに「はーい」という声が聞こえてすぐドアが開かれた。

「ただいま母さん!」

「おかえりなさい凛ちゃん」


白いエプロン姿で自分よりも低い位置にある凛の頭を撫でる女性は、とても母親とは思えない程、綺麗な若い姿だった。

母子の再会の様子を眺めていると、女性の視線がこちらへと移る。

「あら、宗昭くんね。はじめまして凛の母の小百合です。

 来てくれてどうもありがとう」



楽しみにしてたのよ。とふわりと笑う小百合の雰囲気は柔らかく、包み込むような優しさが伝わり、やはり『母親』なんだな。となんとなく思えた。


なんとなく落ち着くような波長は凛にそっくりで、どこか緊張していた宗昭も自然と柔らかい表情であった。






「はじめまして、柚羅宗昭です」





<*わんにゃん#>

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あきゅろす。
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