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こねことおおかみ/完結
一通の手紙

12月31日大晦日

寮内に人影はほとんどなかった。

夏休みに帰省できなかった生徒も、年越しとなれば部活もなく、寮に残るものはいない。
予定のつくものから早々と寮を後にしたので、大晦日の朝には残っているものは数える程になっていた。


「忘れ物ないか」

「うん!」



パタン







そう、

2015号室も他の部屋同様、空室となるのである。








きっかけは一通の手紙であったーーー




▽▽▽▽▽



12月も後半のある日。

思わぬ凛のサプライズによる少しばかり熱々のクリスマスを過ごした二人は、相も変わらず馨が近づきたがらない愛の巣という名の自室でのんびり過ごしていた。



「ねぇむーくん」

「ん?」


見上げてくるちいさな顔は、暖房のせいかほんのりピンクに染まっていて可愛い。
膝の上に乗る頭を撫でていた手を頬に持っていき甲を当てると、冷たく気持ちいいのか擦り寄ってくる。

先を促すように撫でると、綺麗な灰色の瞳がまた見上げてきた。





「あのね、母さんから手紙が届いたんだよ」

そう言う凛の手には確かに赤と青のストライプで縁取りされたエアメールが握られていた。


「それでね、母さんたち、お正月に日本に戻ってくるんだって!」

「よかったな」


ほわほわ笑顔の凛。

ここへ転入してきてからしばらく会っていない両親に会えるからか、嬉しそうに微笑む凛に抱きしめたい衝動に駆られる宗昭だったが、凛の腹の上で眠る都のことを考え我慢する。


そんな宗昭をよそに、凛は手紙を音読していた。


「凛ちゃんへ〜

<*わんにゃん#>

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