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こねことおおかみ/完結
かおるの優しさ

「亮平、とりあえず手当てした方がいいだろ。レンさんとこ連れてくぞ、凛、歩けるか?」

「っ・・・(コクリ)」

「かおるちゃん!すぐ着くからつかまってて」

「え・・・っうわぁ!」


亮平は馨の背中と膝下に手を入れひょいっと抱え上げる

「ちょっ!歩けるっって!!下ろせよ市村!」

「大人しくしてて」


「っ・・・・・」


いつもより真面目な雰囲気の亮平に何も言えなくなる馨


でも姫だっこはやめていただきたいと心から願う馨だった。







「むーくん」

「なんだ?」

「・・・・・腰抜けて立てない」

「・・・・」









▽▽▽▽▽



カランカランっ


「んぁ?あぁ、お前らか・・・って・・・え?」


宗昭と亮平が昔から通うバーである。
マスターのレンさんにも散々迷惑をかけ世話になっている。

「えっちょ、なに?人攫い?」

この二人の悪ガキの強さは知っているマスター。手のかかるやつらだ。でも最近はまぁ落ち着いてきたな、と思っていたのだがその二人がそれぞれ人を抱えて入って来てはそれはもう焦る。


「マスター救急箱!!早くっ!」

「おっ・・・おう」


亮平の勢いに圧されて従うマスター

亮平は馨をソファにそっと下ろす

「かおるちゃん、手当てするからね」

「えっちょ・・・おいっ!」

止めようとする馨は無視してシャツを捲り上げる亮平

「っ・・・!!あのクソ野郎共がっ!」

馨の白い肌が広範囲で赤紫色に変色していた。相当な力で殴られたことが分かる。


「・・・・・・」



馨は傷を見て怒りを露わにする亮平を見る。


腹はめちゃくちゃ痛いけど、自分のことでここまで怒ってくれることが素直に嬉しく思えた。

「っかおるちゃん・・・?」

「ありがとな、助けてくれて。お前が怒ってくれただけで十分だよ」

そっと亮平の頭を撫でる。

「っごめんね、かおるちゃん・・・」

「ははっ、だからなんでお前が謝るんだよー」


眉垂れてるぞ〜なんていいながら眉間のあたりをグリグリ押してくる馨を黙って見つめる亮平





ほら



さっき暴れた俺も

こんな頼りない俺も

全部見てたはずなのに



かおるちゃんはまるごと受け止めて


笑ってくれるんだ






もう






ほんと











好きだよかおるちゃん

<*わんにゃん#>

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