ソウリモノガタリ
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「リセが、エリーってなんだという顔してるぜ」

アリンが言う。

「寄生体オータムクロッカスの、簡単な呼び名だよ。まさかきみは寄生体について何も知らないのかにゃ?」

リセと呼ばれた子は、目を丸くしていた。

「ううむ……恋事件の記憶を封じられているやもしれん。あれだけのことだったのだからな。



寄生体オータムクロッカスは、寄生対象に『恋』という状態を作り出そうとする。

現代では少し時代遅れだが、そう、他人を排除し自分だけを目に映すように信号を送りつけ、人々を攻撃的にするのだ。

食べ物や金が欲しい、子孫がほしいと操れるようになれば相手を乗っとり、自我を破壊し存在ごと食い潰してしまうのだちょん」

「なるほど、恋……そして、エリー、怖い、ですね」

「恋病は戦争の火種にもなりかねんもの。
だが、なぜか国はまだまだ取り締まらない。我々は我々で恋病を撒く、寄生体をどうにかするので手一杯なのだ。悩ましいちょん」 街においてはロマンチスト擁護派が『ラブストーリー』というジャンルを守ろうと過激派化している。
「そのくせ『ノンラブストーリー』は叩く差別者だよ」

博士が吐き捨てる。
確かに、ラブストーリーばかり持ち上げる不気味な人たちの存在は、認知されている。

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あきゅろす。
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