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そう。

メイルは、うとうとしている微睡みのなかで、考える。

(私の家族を殺したやつらも、そんな甘い考え、誰かの蜜を吸って生きようという、馬鹿げた思考が、スタートだと思う)

利用など、できやしない。使えないものを持った人間は、結局無理をして壊れるだけなのである。
「その幻想を、壊していくことも、つとめだという考えも今は出始めています」

釣り合わないものがつがいになった、という周りからの嫉妬や、
『ひも』への根拠のない憧れや妬みで、
逆にクローン同士の揉め事になったりもするらしい。

クローンと、私たちが関わるのは棘の道だ。
そして、利用してやろうという考えをもつクローンは、その大抵が組織ごとつぶれる。

結局、わかりあえるわずかな人間同士でしか、
生きていけないのだろう。

「まぁ、混血のひとと結婚した人だっているんですよね。
私の婚約者も

『私はどんな目にあってもいい。

あなたといられるなら、いじめられても、誰から批難されても構わない』

と言い切ってくれた相手だったんです」

キャーキャーと、クラスメイトが高い声をあげる。この先生は、既婚者だが、ファンが多いのだ。
「一人でいたときの方が、まだマシだというような目に何度も合わせてしまった。

家族からも沢山否定され、同僚からも嫌みを言われたりする……
正直、普通の相手と結ばれるのが、幸せだと思います。

なのに、別れないというのだから、強いですよね。苦しむだけなのにな」

「そこが好きなんですね」
「先生、もう一人お嫁さんいりませんか! 私とか」

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