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「痛覚、か」

(生身だったときの私は、あの日痛みをかんじたでしょうか……)

なんだか、少しぞわぞわとした、むず痒さがある。ため息を堪えて廊下を進んでいると、職員室に呼び出しがあった。

 結界を常に保つ点検もしていた彼女は、結界への異変があると職員室のでんわがなるようにしていたのを思い出して慌てた。

「あらあら、いかなくちゃ」

走らないように、すいーっとすべりつつ移動する。途中、どんと何かにぶつかった。

「ふえ?」

目をぱちくりさせていると、ごめんなさいっ、と目の前の塊が謝った。

「その声、ツルナさんね」

 ツルナさんは、いわゆる先祖返りしたタイプの子だ。
純血だったおじいさまの血をひいているのだとか。
今のご両親の直系であるカーユさんとは違うために互いに肩身のせまい思いをしたらしい。
「昔はあの家の子じゃないかもしれないと、とても不安がっていた。
けど、この学園に来て、私は私で、姉さんや兄さんは、それぞれなんだって、優劣なんてないんだって、改めて思いました」
 おずおずと、そう話してくれたことがある。

直系じゃないから跡取りにもなれないし、もう、純血をいかすしか道がない、と思ったと。



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あきゅろす。
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